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『第三の書く』 [書籍]


第三の書く―読むために書く、書くために読む (国土社の教育選書)

第三の書く―読むために書く、書くために読む (国土社の教育選書)

  • 作者: 青木 幹勇
  • 出版社/メーカー: 国土社
  • 発売日: 1986/08
  • メディア: 単行本


「第三の書く」の「第三」とは何でしょうか。著者の青木幹勇さんは「書写—習字」「作文」に続く「第三の書く」の存在を指摘した上で、本書の性格を「はしがき」で次のように述べています。

 本書は、書名を「第三の書く」としていますが、別に、
  読むために書く
  書くために読む
と、サブタイトルがつけてあります。そのタイトルのとおりこの本は、読むことの指導とその充実、改善を企図しています。

「読むために書く」あるいは「書くために読む」方法として、本文の「第三の書く」には、次の「書くこと」が図示されています。

○視写
○聴写
○メモ
○筆答
○書抜き
○書込み
○書足し
○書広げ
○書替え
○書きまとめ
○寸感・寸評
○図式化
○その他

実に多様な活動が位置づけられています。豊富な「第三の書く」の実例のうち、ここでは「説明的文章」の例を見てみましょう。次に示すのは、「キョウリュウの話」という4年生の教材を書き替えた文章です。

「おとうさん、キョウリュウっていう動物のこと知ってる。」
「知っているさ、そのくらいのこと、大むかし、この地球上にいた、大きな動物だろ。」
「そう、そう。大むかしって、いつごろのこと。」
「そうだなあ、何億年というくらい前だな。」
「よく知ってるねえ。二億年ものむかしだったそうだよ。その二億年てね。どのくらいむかしか、ピンとこないだろう。そこで、こんなことをしてみたの、一年を一cmとして、線を書くと、二億年の線の長さは、何と二百キロにもなるよ。」
「へえ、」

この調子で「学習者とその父との対話」が続きます。この事例について、大内善一さんは「書き手の視点を子供本人とその父の二人の視点に転換させて書く」という「書き替え」活動として、その意義をまとめています。(「書き足し・書き替え作文の授業づくり」『書き足し・書き替え作文の授業づくり』『実践国語研究別冊』156号、明治図書 ※『作文授業づくりの到達点と課題』東京書籍、所収)

また、『書き足し・書き替え作文の授業づくり』には「どちらがすぐれた指標動物?」のように、説明文を「ダニとタンポポの対談」という形で書き替えさせた実践記録も掲載されています。

説明文には「AとB」のように、二つの事物をテーマとする文章が多いです。そのような場合、対話・対談形式の書き替えを活動として組み込む授業が工夫できそうです。

はしがき
一、国語科における「書くこと」
 書写と作文
 「第三の書く」
二、「書くこと」は嫌われている
 「書くこと」を嫌う教師とその批判
 研究授業に問題はないか
 「第三の書く」をふり返る
三、「第三の書く」の展開
 視写のポイント
  慣れと筆速を育てる
  読むために視写する
  視写から作文へ
  視写のメリット
 視写の板書——芦田先生に学ぶ
 視写のすすめ方とその板書
 文学教材の視写
四、書くことの多角化
 聴写
 筆答
 書抜き
 書込み
 書足し
 書きまとめ
 寸感、寸評
 図表・図式・絵画化
五、「第三の書く」と発問
 発問応答と話合いで、読みは深まるか
 「第三の書く」と脱発問
六、文学教材における「第三の書く」
 物語教材
 短歌、俳句を読む
七、説明的文章における「第三の書く」
 読み手が書き手になる
 どう書替えるか
八、伝記教材における「第三の書く」
 和井内貞行の伝記を書く
 志鷹光次郎に、勲章をおくる推せん文と表彰状
おわりに
*巻末に寄せて——井上敏夫
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