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『授業が変わる「第三の書く」』 [書籍]


授業が変わる「第3の書く」

授業が変わる「第3の書く」

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 国土社
  • 発売日: 1987/02
  • メディア: 単行本


青木幹勇さんの『第三の書く』(国土社)における主張を踏まえた実践記録集です。ここでは、岡本博幸さんの「書広げ、書替え『虫を食べるしょくぶつ』」を取り上げてみましょう。

2年生の説明的文章「もうせんごけ」において「視写と書込み」を行った上で、次の活動に取り組んでいます。

 この活動を受けて一人称形式で書替えをし理解の定着と読みの能力を一層高めることにしました。書きだしの文として、「ぼくは(わたしは)、虫がたくさんいるようになると、」と書き、後は自分の書込みや話し合いで理解を深めたことをもとにして、文章を書かせました。次は児童の文章例です。

 わたしは、虫がたくさんとれるころになると、葉を三つのほうほうでくふうします。
 一ばんめは、えの先にまるいはをつけます。これは、虫が花とまちがえるようにくふうします。
 次のくふうは、はにたくさんの毛がはえていることです。これにもわけがあります。ひとつは花の中のようにみせるためと、つかまえたあと虫があばれてもにがさないためです。
 さいごは、はのふちとうちがわにすきとおったねばねばのえきをだしています。これは虫をつかまえるためです。
 こうして、いろんなくふうをして虫をつかまえ生きているのです。

この事例について、大内善一さんは「書き出し文」の効果を「二年生では、このような試みに慣れていないので、やはり細かな手助けが必要である」と指摘しています。(「書き足し・書き替え作文の授業づくり」『書き足し・書き替え作文の授業づくり』『実践国語研究別冊』156号、明治図書 ※『作文授業づくりの到達点と課題』東京書籍、所収)

「ぼくは(わたしは)、虫がたくさんいるようになると、」という書き出しのおかげで、もうせんごけが虫を捕らえる瞬間に絞った書き替えを促していると言えるでしょう。「一ばんめは」「次のくふうは」「さいごは」のように、順序をとらえた書き方ができているのは、書き出しによる限定の効果と言えそうです。

文章を書き替えさせるために、この「書き出し文」の提示は、効果的な手立ての一つと言えるでしょう。

まえがき 青木幹勇
書くことによる理解と想像「ふしぎなたけのこ」 芦川幹弘
書替え、歌詞づくり「スイミー」 柏村茂
書広げ、書替え「虫を食べるしょくぶつ」 岡本博幸
説明文を書き替えて読む「花祭りって知ってる」 「トレイの記号」 小林一朗
豊かに書き替えながら読む「海にする魚の生活」 野崎浩
事典作り「一つの花」 藤田慶三
書くことの慣れを育てる「サリバン先生との出会い」 成家亘宏
学習課題と書くことの導入「食物保存の工夫」 岸本修二
変身作文への導入「正選手になれる日」 福田敦子
視写の工夫「やまなし」 大澤清子
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