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『子どもが甦る詩と作文』 [書籍]


子どもが甦る詩と作文―自由な想像=虚構=表現

子どもが甦る詩と作文―自由な想像=虚構=表現

  • 作者: 青木 幹勇
  • 出版社/メーカー: 国土社
  • 発売日: 1996/10
  • メディア: 単行本


『第三の書く』(国土社)の提案から10年後、青木幹勇さんは「虚構」という言葉を打ち出してきました。その経緯が「はじめに」からうかがえます。

 わたしは、一九六八年に『書きながら読む』、さらに一九八六年には『第三の書く』という二著によって国語科の指導に「書くこと」を導入する実践研究を公開しました。
 右二つの著作のうち後者には、「読むために書く、書くために読む」という副題を付けました。この副題を言い換えれば、「表現と理解の一体化」ということでもあるのです。
 文章理解の指導には、しばしば、正しく、深く、豊かになどという目標が掲げられますが、掛値なしのそういう授業にはほとんど出会えません。
 そこでわたしは、ほんとうに右のような読みの学習を実現する方法として、理解したこと、理解によって触発され、広がっていく想像、そのイメージを自由に描いてみる学習に子どもを引きこんでみました。
 こうして描かれた想像の世界は、当然作者の表現とつながっていますが、それはまた、めいめいの子どもが拓いたフィクションの世界でもあるのです。
 わたしは、この学習が、子どもたちめいめいの深く読み、豊かに読んでいる実態だととらえるとともに、ここには子どもたちの表現力をもっと広大で、オリジナルな、フィクションへ導く契機があると考えました。それはまた、物語を読んで、物語を書くことへの「つなぎ」の学習、つまり「虚構作文入門」でもあるのです。

こうして生まれた「虚構の作文の魅力」が本文で語られています。「この作文のひろがり」には、どのようなものがあるか、項目のみ引用してみましょう。

1 物語を読んで物語を書く。
2 虚構の詩を書く。
3 漫画をネタにして物語を書く。
4 物語を読んで俳句を作る。
5 短歌、俳句を読んで物語を書く。
6 物語を読んで短歌を作る。
7 物語や伝記に登場している人物の対話、対談。
8 折にふれて季語をとりあげ、生活とのつながりをリアルに、あるいは物語風に書く。
9 説明的な文章中の諸生物、あるいは身近の動植物を主役にした短い物語を、家人や幼児に聞かせるべく、童話風に書いてみてはどうでしょう。
10 各自の生活経験のある一コマをフィクション化して書いてみる。
11 創作童話へ手をのばす

このうち、最も詳しく実践が書かれているのは、2の「虚構の詩」です。四つの事例が紹介され、ページ数も一番多く費やしています。本書のタイトルが『子どもが甦る「詩」と作文』なのは、このような理由があるからでしょう。そこで、「虚構の詩」については、青木さんの解説を見てみましょう。

 わたしは、最初、少年詩の作者、秋原秀夫氏の作品「すずめ」を借りて、これを読ませ、この詩に見られる表現の特徴に触れ、その手法に真似て、各自好きな、鳥の詩を書くという指導をしてみました。
 低学年では、この手法を生かして、昆虫や、犬、猫などを対象に書いてみます。
 中、高学年では、題材や表現法を拡げていきます。特に対象に同化して、詩に書くという手法は、子どもの表現力に適していると思います。作ることと並んで、できるだけ多くの作品を読ませることが、詩囊をふくらますポイントでしょう。

秋原さんの「すずめ」は『地球のうた』(教育出版センター)に収められている作品です。この詩集は「子どもたちになじみの深い、鳥や昆虫、犬や猫、きりんやらくだなど子どもにとって親近感のある大小の動物、森や林、池や川、雨や雲のような自然および自然現象」が題材になっています。私も「かぶとむし」という作品を使った実践を行ったことがあります。(「表現の授業を追試する 青木幹勇氏の『虚構の詩を書く』の授業に学ぶ〜」『授業づくりネットワーク』2007年1月号)

青木さんの見つけた「すずめ」のような作品が発掘ができれば、「虚構の詩」の授業づくりに役立ちそうです。

Ⅰ 自由な想像、自由な虚構、自由な表現
 一 子どもの生活の変化
 二 リアル作文へのこだわりをゆるめる
 三 虚構の作文へ手をのばす
Ⅱ 虚構の作文の魅力
 一 この作文の魅力
 二 創作童話への志向
 三 この作文のひろがり
Ⅲ 虚構の詩を書く
 一 千葉市立緑町小学校
 二 大阪の国語教育研究大会
 三 鹿島市立鹿島小学校
 四 埼玉の子どもたち
Ⅳ 物語を読んで物語を書く
 一 一すんぼうし
 二 かさじぞう
 三 ごんぎつねひとりごと
 四 「わらぐつの中の神様」を読んで
 五 求婚を断る手紙
Ⅴ 漫画をネタにフィクションを書く
 一 漫画を物語に書く
 二 漫画に台詞をさし入れる
Ⅵ 短歌を読んで物語を書く
 一 短歌を読んでミニ小説?を書く(大学生)
 二 短歌を作って物語を読む(小学生)
Ⅶ 物語を読んで俳句を作る
 一 物語から俳句へ
 二 俳句から物語へ
Ⅷ 季語の作文を書く
Ⅸ 物語や伝記の登場人物との対話
Ⅹ 説明的な文章と虚構の作文
付 作文教育小史
 一 芦田恵之助と鈴木三重吉
 二 生活綴り方
 三 終戦初期の作文指導
おわりに
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