燃料電池のエネルギーの源 [雑誌]
私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号
『授業づくりネットワーク』2009年12月号
理科(小6)/川本敦 燃料電池のエネルギーの源
「授業のへそ」は次のように書かれています。
9V電池、燃料電池、水素・酸素へとエネルギーが変換していること、エネルギーの総量が一定であることをおさえる。
「燃料電池」「エネルギーの総量が一定」など、小学生の理科にしては、なんだか難しそうです。引き続き、「授業の流れ」の冒頭部分「1 水の電気分解をする」を見てみましょう。
鉛筆の両端を削って心を出し、ビニールテープで束ねる。クリップなどで鉛筆を厚紙に取り付ける。それを水酸化ナトリウム水溶液の入ったビーカーの上にのせる。また下の鉛筆の芯は水溶液に浸す。上の鉛筆の芯からは、それぞれリード線で9Vの乾電池の電極につなぐ。すると、30〜40秒ほどで鉛筆の芯から気体が発生する。
このような「電気分解」は、学習指導要領のどこに位置づけられているのでしょうか。調べてみると、中学校学習指導要領「第2章 各教科 第4節 理科」「第2 各分野の目標及び内容」〔第1分野〕「2 内容」「(6)化学変化とイオン」において、次のように書かれていました。
化学変化についての観察,実験を通して,水溶液の電気伝導性や中和反応について理解させるとともに,これらの事物・現象をイオンのモデルと関連付けてみる見方や考え方を養う。
ア 水溶液とイオン
(ア) 水溶液の電気伝導性
水溶液に電流を流す実験を行い,水溶液には電流が流れるものと流れないものとがあることを見いだすこと。
(イ) 原子の成り立ちとイオン
電気分解の実験を行い,電極に物質が生成することからイオンの存在を知ること。また,イオンの生成が原子の成り立ちに関係することを知ること。
(ウ) 化学変化と電池
電解質水溶液と2種類の金属などを用いた実験を行い,電流が取り出せることを見いだすとともに,化学エネルギーが電気エネルギーに変換されていることを知ること。
なぜ、このような学習を「理科(小6)」で行う必要があるのでしょうか。実践記録の書き方以前に、実践そのものの必然性が分かりません。この実践の「教育内容(教科内容)」は、子どもの実態とズレているのではないでしょうか。
それでは、なぜ川本さんは、わざわざ、この実験を小学生に行ったのでしょうか。推測する手がかりは「伝言板」にあります。「小学校教師のための理科実験セミナー」「わかやま環境学習プログラムHP」を参考にしたことが明記されています。どうやら「とっても簡単!燃料電池の実験」を参考にしたようです。ここには、次の参考資料が示されています。
(1)『おもしろ実験・ものづくり事典』左巻健男・内村浩編著(2002年)東京書籍
(2)『ガリレオ工房の身近な道具で大実験〈第2集〉』滝川洋二・吉村利明(1999年)大月書店
たとえば、(1)を見てみると「えんぴつ蓄電池 究極の燃料電池」というページがあります。この原稿の執筆者、杉山剛英さんは高校教師のようです。つまり、川本さんは高校生用の実験を追試したわけです。いくらHPで「小学校教師のため」と示されていても、原実践が高校向けですから無理があります。やはり、「教育内容(教科内容)」レベルで無理のある実践だと思われます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号
『授業づくりネットワーク』2009年12月号
理科(小6)/川本敦 燃料電池のエネルギーの源
「授業のへそ」は次のように書かれています。
9V電池、燃料電池、水素・酸素へとエネルギーが変換していること、エネルギーの総量が一定であることをおさえる。
「燃料電池」「エネルギーの総量が一定」など、小学生の理科にしては、なんだか難しそうです。引き続き、「授業の流れ」の冒頭部分「1 水の電気分解をする」を見てみましょう。
鉛筆の両端を削って心を出し、ビニールテープで束ねる。クリップなどで鉛筆を厚紙に取り付ける。それを水酸化ナトリウム水溶液の入ったビーカーの上にのせる。また下の鉛筆の芯は水溶液に浸す。上の鉛筆の芯からは、それぞれリード線で9Vの乾電池の電極につなぐ。すると、30〜40秒ほどで鉛筆の芯から気体が発生する。
このような「電気分解」は、学習指導要領のどこに位置づけられているのでしょうか。調べてみると、中学校学習指導要領「第2章 各教科 第4節 理科」「第2 各分野の目標及び内容」〔第1分野〕「2 内容」「(6)化学変化とイオン」において、次のように書かれていました。
化学変化についての観察,実験を通して,水溶液の電気伝導性や中和反応について理解させるとともに,これらの事物・現象をイオンのモデルと関連付けてみる見方や考え方を養う。
ア 水溶液とイオン
(ア) 水溶液の電気伝導性
水溶液に電流を流す実験を行い,水溶液には電流が流れるものと流れないものとがあることを見いだすこと。
(イ) 原子の成り立ちとイオン
電気分解の実験を行い,電極に物質が生成することからイオンの存在を知ること。また,イオンの生成が原子の成り立ちに関係することを知ること。
(ウ) 化学変化と電池
電解質水溶液と2種類の金属などを用いた実験を行い,電流が取り出せることを見いだすとともに,化学エネルギーが電気エネルギーに変換されていることを知ること。
なぜ、このような学習を「理科(小6)」で行う必要があるのでしょうか。実践記録の書き方以前に、実践そのものの必然性が分かりません。この実践の「教育内容(教科内容)」は、子どもの実態とズレているのではないでしょうか。
それでは、なぜ川本さんは、わざわざ、この実験を小学生に行ったのでしょうか。推測する手がかりは「伝言板」にあります。「小学校教師のための理科実験セミナー」「わかやま環境学習プログラムHP」を参考にしたことが明記されています。どうやら「とっても簡単!燃料電池の実験」を参考にしたようです。ここには、次の参考資料が示されています。
(1)『おもしろ実験・ものづくり事典』左巻健男・内村浩編著(2002年)東京書籍
(2)『ガリレオ工房の身近な道具で大実験〈第2集〉』滝川洋二・吉村利明(1999年)大月書店
たとえば、(1)を見てみると「えんぴつ蓄電池 究極の燃料電池」というページがあります。この原稿の執筆者、杉山剛英さんは高校教師のようです。つまり、川本さんは高校生用の実験を追試したわけです。いくらHPで「小学校教師のため」と示されていても、原実践が高校向けですから無理があります。やはり、「教育内容(教科内容)」レベルで無理のある実践だと思われます。
そうです。杉山さんは北海道の高校の理科教師です。
ぼくは10数年前に彼の理科講座を受けたことがあります。
ものすごい実験オタクの方でしたが、おもしろかったですよ。よく覚えています。
by まるしん (2009-12-23 01:24)