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九九の表から発見10! [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年1月号
算数(小2)/長廻修 九九の表から発見10!

タイトルからも分かる通り、「九九の表」を教材とする実践です。「授業の流れ」には、三つの小見出しが掲げられています。一つずつ、見ていきましょう。

まず、「1 九九の表を作ろう!」です。復習も兼ねて「九九の表を作り」を行うのですが、「ノートに100マス計算をするように答えを埋めていった」そうです。この導入場面で、教師はどのような言葉をかけたのか、指示・発問を枠囲みしたいところです。「2学期に覚えた九九をどれだけスピーディーに書けるか?腕の見せ所である。」という説明から、教師が子どもたちにチャレンジを促している様子がうかがえます。そのような教師の意図を伝えるためにも、指示・発問の枠囲みが必要です。

次に、「2 数の並びから発見10!」です。本実践のメインとなる場面です。ところが、ここでも枠囲みがありません。次のように説明されています。

 ここから発見タイムである。縦・横・斜めの並び方を見る子や十の位の数と一の位の数を分解して見る子など、見方は様々である。まずは、九の段に発見が集中した。

「ここから発見タイム」という教師の言葉だけで、子どもたちの活動が始まったとは考えにくいです。あるいは、長廻さんのクラスは「目標は発見10!!」が合い言葉のようですので、もしかすると、特に教師の言葉が無くても大丈夫なのかもしれません。しかし、一般的な読者を想定するならば、やはり、ここは何らかの指示・発問を枠囲みで示したいです。本実践の骨格となる、重要な部分だからです。この枠囲みが無いと、再現可能性が大幅に低くなってしまうと思われます。

最後に、「3 なぜ同じ数字が並んでいるのか?」です。ここで初めて、枠囲みが出てきます。次の二つです。

【枠囲み1】
下のグループと上のグループで、他に同じ数はないだろうか?

【枠囲み2】
では、なぜ、こんな並び方になっているのかな?

ここでは、九九の表を左上から右下へ斜めに分けると、同じ数が対称的に並んでいる理由を考えさせたいようです。そうすると、指導の骨格となる発問は【枠囲み2】になります。こちらに絞った方がよいでしょう。そうすると、【枠囲み1】は『  』で囲みます。

ところで、『  』に関連して、少し気になる部分があります。

 たくさんの意見交換の末、次の意見にたどり着いた。
『かける数とかけられる数を入れ替えた答えの場所が、点線をはさんだ反対側にある』
『点線の答えは、1×1、2×2、3×3のように、同じ数をかけた答えになっている』

この『  』は教師のまとめでしょうか。それとも、子どもの発言でしょうか。「次の意見にたどり着いた」という言い回しが微妙です。もし、教師のまとめであれば、その旨、明記したいです。子どもの発言であれば、「  」で囲み、それに至る教師の言葉かけを『  』で示したいです。

長廻さんの原稿を読むと、枠囲み(教師が指導した言葉)と『  』(教師が対応した言葉)の区別が曖昧のようです。書き方の揺れは、実践そのものの揺れをうかがわせますので、しっかりと使い分けたいものです。
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