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『実践・言語技術入門』 [書籍]


実践・言語技術入門―上手に書くコツ・話すコツ (朝日選書)

実践・言語技術入門―上手に書くコツ・話すコツ (朝日選書)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 1990/02
  • メディア: 単行本


上條晴夫さんは『子どものやる気をひきだすノート指導』(学事出版)において、「ほめ方でノートが変わる」と主張しています。そのために必要なのが、ノートを「見る」技術です。ノートをいつ見るか。上條さんは「授業の途中」「授業の最後」「授業後」の三つに分けて考えます。いずれの場面においても「速読のコツ」が必要になります。それには、「文章のポイントをすばやく見つけ出す判断力アップの方法」、つまり「重点を押さえた読み」が効果的だというのです。この「速読」のための参考文献として、本書の「重点先行で書こう」から、次の箇所が引用されています。

1 初めに書き手の意図や内容の骨子を読み手に知らせることにより、読み手の理解を助けることになる。
2 書き手の意図や内容の骨子が分かった段階で、読み手は、その文章の自分にとっての価値を判断し、先を読むべきかどうかを決めることができる。読む必要がないとなれば、読まずに済ませられるから、それだけ時間と労力をむだにしないで済む。
3 一方、書き手にとっても、重点先行でいけば、自分の意図や大事な事がらを意識しながら筆を進めることになる。したがって、先行させた重点を支えるべく、おのずとすじの通った記述を心がけ、首尾の一貫した文章を構成することができる。

これは「書く」コツですが、もちろん「話す」場合にも当てはまります。本書の副題は「上手に書くコツ・話すコツ」です。「書く」と「話す」の順序について、本書の「はじめに」で次のように述べられています。

 私たちのふだんの言語生活では、書くより話す機会のほうがずっと多いのですが、この本では第Ⅰ部で〈書く〉ときの問題を取り上げ、第Ⅱ部で〈話す〉ことにはいります。それは、情報を伝えるとか意見を述べるとか、多少ともきちんとした表現が必要な場合には、〈書く〉ことが基本になるからです。ちゃんとした話をしようとするときには、たいていの人がメモや原稿を用意するでしょう。書くと、論理が「見え」てくるので、話の筋を通そうと努力することになります。また、おしゃべりと違って書いたものはあとに残るので、いやでも慎重になります。だから、基礎訓練は書くことからはじめるほうがいいのです。

「書く」から「話す」への応用ですが、それを「読む」方向に展開したのが、上條さんのノートを「見る」技術です。ノートを見たら、まず、子どもの「意図や内容の骨子」をもとに、どのくらいの「時間と労力」をかけるか判断するというのです。

「書く」から「話す」へ、「書く」から「読む」へ、ノート指導という観点から見ても、「書く」ことを中核に考えていけそうです。

はじめに
Ⅰ 書く
 第一章 何を書くか 何を捨てるか
  文章の核
  主題をきめる
  材料を集める
  読み手を考える
 第二章 「事実」か「意見」か しっかり区別しよう
  「見たこと」と「考えたこと」
  新聞記事
  ある投書
  事実の記述
  意見
 第三章 段落を見直そう
  「段落」とは
  段落話題と中心文
  展開部の文
  段落をひきしめる要素
  文章の型
  帰納型から演えき型へ
  段落を立てる
  段落から文章へ
 第四章 重点先行で書こう
  重点先行とは何か
  なぜ重点先行か
  重点先行の実際
  話す場合にも重点先行で
 第五章 分かりにくい文
  文を診断しよう1
  文を診断しよう2
  文を診断しよう3
Ⅱ 話す
 第一章 説明をする
  これで分かる?
  説明を始める前に
  説明の仕方
  具体的な留意点
 第二章 電話と手紙
  《電話》日常の電話
  電話のかけ方・うけ方
  《手紙》公的な手紙
  半ば公的な手紙
  私的な手紙
  《電話と手紙の使い分け》
  尊敬語と謙譲語
 第三章 会議
  会議の意義
  会議運営の原則
  参加者の心得
 第四章 スピーチ―一分間スピーチの実践
  話し方教室第一回
  話し方教室第二回
  話し方教室第三回
  すばらしいスピーチをするために
 第五章 「はっきり言おう」
  ぼかした言い方
  ストレートな言い方
  これからどうする
付 ものを調べる手がかり
  ものを調べる手がかり
  じてんのいろいろ
  机のそばに置きたい辞書
  家族そろって、楽しく、新聞のきりぬき作り
  図書館に親しもう
  索引を活用しましょう
  資料さがしのいろいろ
  個人の記念館がこんなにも
  新しい博物館の姿をみせている企業関係博物館
  付 インタビューについて感じたこと
「問題の解答例」
索引巻末
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