『子どもと楽しく遊ぼう 読書へのアニマシオン』 [書籍]
子どもと楽しく遊ぼう 読書へのアニマシオン―おすすめ事例と指導のコツ (ネットワーク双書)
- 作者: 黒木 秀子
- 出版社/メーカー: 学事出版
- 発売日: 2004/05
- メディア: 単行本
『読書へのアニマシオン 75の作戦』(柏書房)における「まちがい」の作戦は、次の9でした。
1 読みちがえた読み聞かせ
5 いる? いない?
8 にせもの文
10 つかまえるよ!
13 誤植
18 これがあらすじです
19 海賊文
32 どれが本当の話?
36 物語ではそう言ってる?
このうち、本書で取り上げているのは、作戦1・5・13・36です。ここでは、作戦13・36を取り上げましょう。
まず、作戦13です。「実践のねらい」から引用しましょう。
アニマシオンをある程度積み重ねてきた子どもたち向けの作戦です。文章にわざと忍ばせた間違いを探す遊びです。
この作戦の【方法】、つまり「まちがい」を「どのように当てるか?」は、タイトルからもうかがえるように「まちがいさがし」です。ただし、「やり方」には、次のように説明されています。
Bのプリントを配ります。
「本の通りの文章と、どこか誤植があるものとがまざってしまいました。aからdの中で、どれが本と同じ(さっきのAのプリントと同じ)かを探してください。これだと思うものの記号に○をつけてください。」
A(本の通りの文章)とB(どこか誤植があるもの)のプリントを比べて「まちがいさがし」をするのですが、最終的にはaからdの選択肢から「ほんものえらび」をするのです。なぜ、このような回りくどい方法をとるのでしょうか? 執筆者の黒木秀子さんは、次のように「実践のポイント」を説明しています。
4つのうちのどれが本物か、という聞き方なので、正解を見つけること自体は難しくありません。難易度から言えば、例えば、にせものの文章を見せて、このうちから本物の文章と違っている箇所をすべて指摘しなさい、という方がずっと難しくなります。(作戦36番がそれに似ています。)
つまり、すべて自力で行う「まちがいさがし」よりも、選択肢が与えられた「ほんものえらび」の方が、子どもたちにとっては取り組みやすいのです。
次に、黒木さんが例に挙げた、作戦36を見てみましょう。「実践のねらい」からの引用です。
この作戦では、物語の中の文章を少しだけ変えたカードと、もともとの作品の表現を見分けるということをします。簡単な物語なら、小学校1、2年からできます。子どもたちの年齢と力量に応じて適切な難易度のカードを作成する必要があります。
2人組で相談させるやり方なので、退屈しないでやれます。この作戦を通して結果的に表面的な読みから、深い読みへと導いていきます。
作戦36の特徴は【人数】が「2人」という点です。本書の冒頭では「沈黙の時間の確保」「個人の発言を優先」が強調されています。ただし、その条件がクリアできれば「集団の学び合い」も推奨されています。それでは、「2人」の活動は、どのような場合に認めるべきなのでしょうか?
まず、この作戦36は、作戦13などと比べると難易度の高い「まちがいさがし」だという点です。そのため、ペアの相談が効果的のようです。執筆者の鈴木淑博さんは、次のような「補足説明」を行っています。
ペアで行う方式は、他の作戦でも使えます。
例えば、作戦7「どんな人?」で、参加者の人数が適切であれば、同じカードを引いた2人か3人が組んで考える、というやり方をすることが出来ます。肩を寄せ合って相談している様子はほほえましいものです。
日本の学校でアニマシオンを行う場合、スペインで想定された参加人数よりも多めになることが多いです。この「2人組みで考える方式」を工夫して導入するのもいいでしょう。
他の作戦でも、場合によってペアで活動する可能性が指摘されています。ただし、むやみに人数を増やすのではなく、「まちがいさがし」と「ほんものえらび」など、作戦の難易度を考えながら、慎重に対処すべきでしょう。
はじめに
第1部・読書へのアニマシオンの真髄と指導のコツ
1−「読書へのアニマシオン」とは何か
2−子どもの成長と「読書へのアニマシオン」
3−アニマドールの役割
4−本の選び方
5−本の揃え方
6−素材づくり
7−作戦進行のコツ
8−著作権について
第2部・子どもと遊ぼう読書へのアニマシオン
*< >内は、おおよその対象区分です。
読み聞かせに興味をもたせる<幼・小低>
登場人物を見分ける<小低・小中>
登場人物に着目して作品を理解する<小中・小高>
自分の考えを表現できる<小高・中高>
人物像を鮮明にする<小高・中高>
登場人物に注目する<小中・小高・中高>
タイトルを考える<小高・中高>
できごとの順番を考える<小低・小中>
物語の流れに注目する<中高>
言葉の配列の意味を考える<小高・中高>
音読の楽しさを味わう<小中・小高>
質問づくりで作品を理解する<小申・小高・中高>
ストーリーを進める人物<小高・中高>
よく聴いて出番を待つ<幼・小低>
絵と実物を合わせる楽しみ<幼・小低・小中>
絵本の絵を楽しむ<幼・小低>
物語をたどり直す<幼・小低>
小さな発見を楽しむ<小中・小高>
登場人物になりきる<中高>
話のプロセスを語る<小高・中高>
作者自身の表現に注目する<幼・小低・小中・小高・中高>
自分の言葉で語る<中高>
詩のリズムを楽しむ<小低・小中>
詩を「好きだ」と思うって、どんなこと?<小中・小高・中高>
登場人物の関係に注目する<中高>
物語を聴いて動いてみる<小低・小中>
俳句という表現にふれる<小中・小高・中高>
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