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『読書で遊ぼうアニマシオン』 [書籍]


読書で遊ぼうアニマシオン―本が大好きになる25のゲーム

読書で遊ぼうアニマシオン―本が大好きになる25のゲーム

  • 作者: モンセラット サルト
  • 出版社/メーカー: 柏書房
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 単行本


著者による「読書のアニマシオン〈作戦〉の手引き」冒頭には、次のように記されています。

 ここに紹介する25の作戦は、私たちが10年以上にわたって、数え切れないほど多くの子どもたちに実践を重ね、彼らと共に試行錯誤を繰り返した結果として生まれたものです。
 作戦はあらゆる子どもに用いることができますが、特に注目していただきたいのは、それらがすでに本を好きな子どもたちよりも、むしろ本の面白さにいまだ出会ったことのない子どもたちをターゲットにしているという点です。
 自発的に本を読み始めたのではなく、学習として強制されているから、子どもは読書を拒むのではないでしょうか。読書を価値あるものとも、大切だとも、楽しいとも感じられずに、自分には不要なものと思い込んでいる子どもたちにも、遊びを通じて読む楽しさを体験する「場」さえ与えれば、跡は子どものほうからどんどん積極的になってくるのです。子どもは本当は本が大好きですから。

ここで強調されているのは、「本の面白さにいまだ出会ったことのない子どもたち」「読書を価値あるものとも、大切だとも、楽しいとも感じられずに、自分には不要なものと思い込んでいる子どもたち」が対象とされていることです。そのため、読書を「学習」ではなく、「遊び」としてとらえることが提案されています。

その具体的な方法として「25の作戦」が提案されているのですが、それらを比較すると、作戦の特徴によって分類できることに気づきます。その特徴の一つが「まちがい」です。「まちがい」を見つけたり、「まちがい」でないものを選んだりすることで、読む楽しさを感じさせるしかけの作戦があります。以下に示す一群の作戦です。

作戦1  アニメーターの読みまちがいを子どもが言い当てるゲーム
     「ダウトをさがせ」
耳で聞き取るまちがいさがしです。2回続けて同じお話を聞きます。2回目を聞いている時に、1回目とちがうところに気づいたら、大きな声で「ダウト!」と言って下さい。場面を思い浮かべながらよく聞くことが、まちがいを見つけるコツですよ。

作戦5  物語に出てきた人物と登場場面を見つけるゲーム
     「この人いたかな? いなかったかな?」
本にはいろいろな人々が登場します。主役やよく出てきた何人かの登場人物のことは覚えていても、それ以外の人となると、どんな人だったのか、どこに出てきたのか、あやふやになっていないかな? 登場人物全員を思い出しながら、物語をもう1回楽しく体験しましょう。

作戦8  段落内に紛れ込んだ異質な文章を見つけるゲーム
     「わりこみはアウト!」
給食を待つ列、バスを待つ列、……どこでも人のたくさん集まる場所では、並んで待つのがルールです。でも、ときどきいるよね、わりこむ人が。本の中にも、ルール違反の文章がわりこんできました。よく見ると、まわりの文章からも浮いています。それをさがして言いましょう。「わりこみは、アウトだよ!」

作戦10 他の人の読みまちがいを発見し、その場で指摘するゲーム
    「まちがいセンサー」
本を見ながら朗読を聞き、まちがいに気づいた瞬間に、パッと反応する——そう、あなた自身がまちがいセンサーです。本を読み上げる人は正確に読むように、聞く人はまちがいを聞き逃さないように注意して! 集中力と鋭い反射神経が必要です。スピード感があって、ドキドキしてきますよ。

作戦13 本から抜き出した文章の変更に気づくゲーム
    「変装文を見破れ」
怪人二十面相は恋幻自在です。意外にも文章だって変装できるのです。見たいですか? よろしい、少しだけならお見せしましょう。「怪人二十面相は変幻自在です。以外にも文章だって変装できるのだよ。見たいですか? よかろう、少々ならお見せしましょう。」ざっとこんな具合です。今日は君のもとに挑戦状が届きました。「わたしを見破ることができるかな? フッフッフ……」なにしろ変装の名人だから、見破るのはなかなか大変です。二十面相の運命や如何に……

作戦18 3つのあらすじの中から本物のあらすじを選ぶゲーム
    「本の植木屋さん」
植木の刈り込みの達人は、チョッキン、パッチン、スットンといらない枝を落としては、木の形や個性をくっきり見せてくれます。1冊の本を木に見立てたら、本の〈あらすじ〉づくりは、そんなお仕事に似ています。国語嫌いは憎き〈あらすじ〉のせいだっていう君もあなたも、今日は本の植木屋さん。大切な枝を切ってしまわないよう気をつけて、本当の〈あらすじ〉を見つけよう!

作戦19 抜き出した段落に侵入した、物語の筋に反する言葉や文を見つけるゲーム
    「インベーダーをさがせ」
「ピー 警告! インベーダーが侵入! 至急発見せよ!」非常事態が発生しました。本の中にインベーダーが紛れ込んで、文章をひっかきまわしているようです。君の使命はそいつをすみやかに発見し、当局に報告すること。健闘を祈る!

耳で聞くか、目で見るか。変更か挿入か。本文か、あらすじか。……さまざまなパターンはありますが、いずれも「まちがい」が仕組まれているのが共通点です。この「まちがい」に注目すると、アニマシオンによる学びのしかけが見えてくるかもしれません。

アニマシオンとは何か 増山均(日本福祉大学教授)
日本の読者の皆様へ  モンセラット・サルト
序文         フランシスコ・クベール・サラス
25の作戦
 読書のアニマシオン〈作戦〉の手引き モンセラット・サルト
 作戦1  アニメーターの読みまちがいを子どもが言い当てるゲーム
      「ダウトをさがせ」
 作戦2  持ち物の絵を見て登場人物を当てるゲーム
      「これ、だれのもの?」
 作戦3  時間と場所についての質問に答えるゲーム
      「いつ? どこで?」
 作戦4  作家が創った言葉を見つけて意味を連想するゲーム
      「おもしろことば遊び」
 作戦5  物語に出てきた人物と登場場面を見つけるゲーム
      「この人いたかな? いなかったかな?」
 作戦6  本を読んで感じたことをもとに考えを述べ合うゲーム
      「本を囲んでワイワイ話そう!」
 作戦7  探偵気分で登場人物を分析するゲーム
      「名探偵は私だ!」
 作戦8  段落内に紛れ込んだ異質な文章を見つけるゲーム
      「わりこみはアウト!」
 作戦9  登場人物の特徴から人物名を当てるゲーム
      「そのカード、誰のこと?」
 作戦10 他の人の読みまちがいを発見し、その場で指摘するゲーム
     「まちがいセンサー」
 作戦11 読んだ本に新たにタイトルをつけるゲーム
     「ぼくのタイトル、世界一!」
 作戦12 順不同になった文章をもとどおりに並べ替えるゲーム
     「物語バラバラ事件」
 作戦13 本から抜き出した文章の変更に気づくゲーム
     「変装文を見破れ」
 作戦14 役を演じ分けて大きな声で読み上げる語り手のコンテスト
     「語り芸人コンテスト」
 作戦15 2チームに分かれ、本から問題を出し合って競うゲーム
     「クイズで決闘だ!」
 作戦16 「見出し」を見て、それがどの章のものか思い出すゲーム
     「やっと会えたね」
 作戦17 本から抜き出した文章からその場面や中心人物を思い出すゲーム
     「本のかけらが語り出す」
 作戦18 3つのあらすじの中から本物のあらすじを選ぶゲーム
     「本の植木屋さん」
 作戦19 抜き出した段落に侵入した、物語の筋に反する言葉や文を見つけるゲーム
     「インベーダーをさがせ」
 作戦20 登場人物の中から狂言回し役をさがすクイズ
     「狂言回しは誰?」
 作戦21 本はさまざまな視点から読めるということに気づくゲーム
     「視点を変えてみたら」
 作戦22 本から抜き出したひとつの文をヒントに、脇役の名前と人物像を探るゲーム
     「クイズ その脇役は誰でしょう?」
 作戦23 意味を変えないで文章を短くするゲーム
     「カット! カット! カット!」
 作戦24 客観的に本を評価するゲーム
     「今日から書評家。エッヘン!」
 作戦25 チームに分かれ、本に関する問題を出し合う大人数のゲーム大会
     「史上最大のクイズ作戦」
実践リポート
 ぼくらは、読書探偵団——活字の世界は おもしろい  岩辺泰吏(東京都葛飾区立飯塚小学校)
 子どもたちと本——いま、アニメーターの役割を考える 佐藤凉子(児童図書館研究会)
 読書のアニマシオンのための参考図書リスト      黒沢克朗(児童図書館研究会)
訳者あとがき
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