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からだを楽器に変えちゃおう! [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2009年9月号
音楽(小1)/秋澤美加子 からだを楽器に変えちゃおう!

副題は「はじめてのボディパーカッション」です。ボディパーカッションとは何でしょうか? 考案者の山田俊之さんは「NPOボディパーカッション協会」のホームページにおいて、「体全体を打楽器(パーカッション)にして、リズムを奏でる音楽」と説明しています。「体全体」というポイントを頭に入れておいてください。

秋澤さんも子どもたちに体全体を使わせようとしています。まず、「タンタンタン」「「タタンタタン」などの簡単な手拍子をさせています。その上で、「膝・お尻・お腹など、体の一部も加えながらリズムを真似させ、手以外にも音が出せることを体感させて」います。

次は、いよいよ本題です。引用します。

 手拍子のみで3つのリズムを3回ほど真似させる。ウンは手拍子をしないことを確認する。
(1)タンウンタンウン|タンタンタンウン
(2)ウンタンウンタン|ウンタンタンウン
(3)タタタンタタタン|タンタンタンウン

ここでは「手拍子のみ」のリズムであることを確認しておいてください。

そして、秋澤さんは次の指示・発問をしています。枠囲みを引用します。

 みんなは、どのリズムが好きですか。好きなリズムを一つ選んで練習しましょう。発表する時、グループでピタッと合わせられるといいですね。

このうち「ピタッと合わせられる」には傍線が引いてあります。この部分が強調して説明されたようです。それでは、子どもたちは何を「ピタッと合わせられる」ように求められているのでしょうか? それは、自分たちが選んだ「リズム」でしょう。その「リズム」は何で打つのでしょうか? それは、「手拍子」……だけでは無さそうです。なぜなら、その後、子どもたちは「ウンの時に、膝を叩く」「足踏みをしながら、ウンの時は大きく両手を広げる」などの活動をしているからです。どうやら、「好きなリズムを一つ選」ぶだけではなく、「体の好きな場所を使って」練習することが求められていたようです。体の動きを「ピタッと合わせられる」ようにするなら分かります。

つまり、「タンウンタンウン」のような音だけではなく、体の動きも合わせるところが、秋澤さんの実践のポイントではないかと思われます。1年生のリズム遊びで「パーグーパーグー」のように手拍子する代わりに、体全体を使って「ピタッと合わせられる」ようにするところが工夫点なのでしょう。

しかしながら、その工夫が原稿を読んでも充分に伝わってこないように思えます。その原因は「体全体」を使うボディパーカッションの特徴が、しっかりと説明されていないからではないでしょうか。たとえば、先の指示「好きなリズムを一つ選んで練習しましょう」です。ここの「練習」はリズムの音を真似るだけでなく、体全体を使って表現させるはずです。そうであれば、「体の好きな場所を使って練習しましょう」のような指示になるはずです。

おそらく、わざわざ「体の好きな場所を使って」などと言わなくても、子どもたちにとって、体を使うのは分かりきっていたのでしょう。しかし、読者は違います。ボディパーカッションを知らない人でも理解できるように、何らかの手立てが必要です。たとえば、授業の導入「膝・お尻・お腹など、体の一部も加えながらリズムを真似させ、手以外にも音が出せることを体感させて」いる部分です。ここは、授業の骨格となる重要部分のはずです。そうであれば、きちんと指示・発問を枠囲みすべきです。『先生の真似をしてくださいね』という簡単な会話ではなく、次のような指示・発問を枠囲みしてはどうでしょうか。

  今日は体を楽器に変えちゃいましょう。先生の体の動きを真似してくださいね。

秋澤さんは「伝言板」に次の参考文献を示しています。

山田俊之氏「楽しいボディパーカッション リズム遊び」(音楽之友社)

これは、どうやらビデオのようです。もちろん、視聴覚教材も良いのですが、映像と文章は違います。ビデオで見た動きを原稿で表現するには、何らかの工夫が必要です。たとえば、山田さんは『体がすべて楽器です! ザ・ボディパーカッション ほかほかパン屋さん』(音楽之友社)では、リズム譜に「手拍子」「足踏み」「ひざ打ち」などの記号を入れて、体のどの部分を使って音を出すかを表現しています。秋澤さんの原稿においても、「体全体」というポイントをさらに強調すれば、ボディパーカッションの魅力が伝わると思われます。
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