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酸性雨を作ろう [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2009年9月号
理科(小学校高学年)/宮地淳 酸性雨を作ろう

「酸性雨を実験的に作ることで、リトマス紙でも判別できる」というユニークな実践です。「実際に集めた酸性雨はリトマス紙で反応しないことが多い」ため、宮地さんは次の3つをゴミ袋に集めます。

(1)トラックの排気ガス
   ※近所の建設会社にお願いして確保した。
(2)自分の車(1500ccガソリン車)の排気ガス
(3)塩ビパイプの破片を燃やした煙(工場の煙の代用として使用)を袋に集めた。

これらの袋を提示した上で、次のように発問します。

 袋に入った排気ガスや煙を水に溶かして、酸性雨を作ろう。

「酸性雨を作るというだけで、子どもたちは興味津々」なのも、うなずけます。

そして、「酸性雨を作る」手順が示された後、次のような教師と子どものやり取りが展開されています。

『リトマス紙で、水溶液が酸性になっているか調べましょう』
「トラックの排気ガスが溶けた水は、やっぱり酸性になった。酸性雨と同じだね」
「強い酸性だよ。青のリトマス紙がはっきり赤になった」
「塩ビを燃やした煙の水もすぐに酸性とわかったよ。青のリトマス紙がうすく赤になったよ」
「あれ、先生の車の排気ガスの水は変わらない。中性だ」

最初に示された教師の会話は、ぜひ枠囲みしたいところです。「酸性雨を作ろう」→「本当に酸性か調べよう」という流れが、この実践のヒットポイントだからです。自分たちの作った「酸性雨」が「本当に酸性か」という興味は、きっと子どもたちの意欲的な活動を促すでしょう。さらに、「やっぱり」「はっきり」「うすく」「あれ」などの言葉からもわかるように、子どもたちが仮説をもって実験に取り組み、検証を重ねていく様子がうかがえます。このような活動のきっかけとなる「本当に酸性か調べよう」という教師の発問は、非常に大切なものです。ぜひ、枠囲みで強調したいところです。

授業の最後には、「BTB液で普通車の排気ガスが溶けた水溶液も酸性になることを確認」しています。「普通車の排気ガスは、マフラーの性能が向上し、大気汚染を引き起こす物質をできるだけ出さないようになっている」ため、「リトマス紙で判別できるほどの酸性を示さな」いそうです。なるほどなぁと納得します。子どもたちも、きっと「へぇ〜」と感心したのではないでしょうか。

宮地さんは小中併設校で中学校の理科も担当されているようです。さすが、専門教科の知識をもっている方は、目の付け所が違うなと感心します。
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