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人間コピー [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

学級活動(小4)/下田貴浩 人間コピー

「人間コピー」とは「友達と協力しながら、一枚の絵を写しとる活動」です。次のやり方が枠囲みされています。

(1)チームは生活班(五人程度)です。
(2)廊下に貼ってある絵を見て、どんな絵か記憶します。
(3)教室に戻り画用紙に同じように描いてください。見に行く時の注意は次です。
  ・何度見に行ってもよい。
  ・一人だけで見に行く。
  ・何も持たずに見に行く。
(4)時間は10分です。

この「人間コピー」はグループワーク・トレーニング(非営利活動団体「GWTネットワーク」参照)のアクティビティです。下田さんも「伝言板」で『協力すれば何かが変わる 続・学校グループワーク・トレーニング』(日本学校GWT研究会著、遊戯社)の「追試」であることを明示しています。

では、下田さんが工夫した点はどこか、原実践と比べながら確認してみましょう。参考文献には「人間カラーコピー」という実践が載っています。クレヨンで「カラーコピー」するのではなく、鉛筆で「コピー」するところが下田実践の「修正」追試なのでしょうか。

実は、『学校グループワーク・トレーニング』(横浜市学校GWT研究会著、遊戯社)の方に「人間コピー」の実践があるのです。この本では、次のように説明されています。

(1)男女混合で、4〜6人のグループを編成する(3年生くらいなら4人が望ましい)。
(2)画用紙を配り、各自に鉛筆を用意させる。
(3)次のように説明する。
 「今日は、みんながコピーの機械になってやるゲームです。廊下や隣の教室などに1枚の絵が貼ってあります。その絵を見てきて、わたされた画用紙に、そっくり同じように描いてください」
 「見に行くときの注意が3つあります。
 ア.何度見に行ってもかまいません。
 イ.1回に見に行く人は、班で1人です。
 ウ.見に行くときは、何かを持っていってはいけません。時間は、12分間です

先の下田実践と比べてみると、原実践との違いは、ほとんどありません。「時間は10分」のところだけです。ふりかえりにおける指示「おしゃべりをしないこと」「人のを見ないこと」も同じです。ふりかえりシートの項目「意見をまとめていた人」「いい考えを出した人」「いい考えを褒めた人」「よく絵を見に行った人」「よく絵を描いた人」も、ほとんど変わりがありません。

唯一、下田実践のオリジナルと思われるのは、次の部分です。

『今立っている人は、○○をしてくれた人です』
と言い、全員で拍手をおくる。特に一名を選ばずに、名前が書かれた人全員に拍手をおくることもある。最後は、活動した全員に拍手をおくる。

このうち「特に一名を選ばずに……」以下は、原実践には書かれていない部分です。しかし、これだけでは原実践を「コピー」しただけと言われても仕方ないでしょう。

原実践の「人間コピー」には2種類の絵が用意されています。「3年生では、〈絵No.1〉でもかなりむずかしく、6年生なら、〈絵No.2〉からはじめても楽しめる」そうです。下田さんが受け持っている4年生の子たちには、どちらの絵を使ったのでしょうか。あるいは、別の絵を使ったのでしょうか。この原稿には「コピー」する元の絵が示されていないため、読者の追試は困難です。絵も実践も、コピー(追試)するためには、原画(原実践)の提示が不可欠のはずです。
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