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〈数え方〉に残る“和文化”に気づかせる [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年1月号
国語(小6)/辻川和彦 〈数え方〉に残る“和文化”に気づかせる

「鉛筆・色画用紙・ウインナー・皿・カード・缶ジュースの六枚の写真」を使う授業です。辻川さんは、次の指示・発問を示しています。

【枠囲み1】
 これらを二つに仲間分けします。どのように分けられますか?

【枠囲み2】
 これは、何をもとに分けたのでしょうか?

【枠囲み3】
 〈数え方〉にはほかにどんなものがありますか?

【枠囲み4】
 こんなにたくさんの数え方があったら面倒です。全ての数え方を「個」に統一したいと思います。賛成ですか、反対ですか?

【枠囲み5】
本…細長い物を数える語。
本…紙・板・皿など薄くて平たい物を数える語

【枠囲み6】
 では、これの数え方は何でしょう?

【枠囲み7】
 なぜ、このような数え方をするのでしょうか?

【枠囲み8】
〈数え方〉には昔の暮らし方が分かるものが残っています。このような〈数え方〉を無くしたくないですね。

八つの枠囲みは、さすがに多いです。もう少し、精選できないかを検討してみましょう。

これらの枠囲みを、分節ごとに示してみましょう。

1 「数え方」で分類する
 【枠囲み1】
 【枠囲み2】★
2 〈数え方〉の統一を検討する
 【枠囲み3】
 【枠囲み4】★
3 数えるものの特徴によって〈数え方〉が違うことに気づく
 【枠囲み5】
4 〈数え方〉から昔の人の暮らしが見えることに気づく
 【枠囲み6】
 【枠囲み7】★
 【枠囲み8】

分節1です。【枠囲み1】は試みに、仲間分けを子どもたちに考えさせるための導入発問だと思われます。中心となる発問は【枠囲み2】でしょう。

分節2です。ここは「〈数え方〉の統一を検討する」というよりは、次の分節3への橋渡しと考えた方が良さそうです。分節2と分節3を合わせた「数えるものの特徴によって〈数え方〉が違うことに気づく」を手がかりに考えてみましょう。【枠囲み4】により、〈数え方〉に込められている意味に気づかせる意図があったと思われます。

分節4です。【枠囲み6】は写真クイズの問いかけの言葉、【枠囲み8】は教師のまとめの言葉です。ですから、ここでの中心発問は【枠囲み7】と言えそうです。

以上のように整理すると、指導の骨格となる指示・発問は【枠囲み2】【枠囲み4】【枠囲み7】と思われます。

では、それ以外の【枠囲み】は、どうすればよいのでしょうか。外枠を取り払って、『  』にすればよいでしょう。辻川さんの原稿には、教師の発言『  』が一つもありません。さらに、子どもの発言「  」もありません。そのため、淡々とした授業の印象を受けます。

けれども、実際の授業は、もっと活気あるものだったはずです。それが読者に伝わらないのは、『  』「  」の会話で描写できていないためだと思われます。エピソードよりも、システムの記述に偏ってしまっているのです。授業の骨格は非常にしっかりしていますので、その魅力を描写の表現で伝えてほしいものです。
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