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観察意欲を高め、確かな視点をもたせる工夫 [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2010年1月号
理科(小4)/田中聖吾 観察意欲を高め、確かな視点をもたせる工夫

「授業のへそ」は次のように書かれています。

 植物を実際に観察する前に、現在の様子がどうなっているかをクイズ形式で考える。
 観察前に行うことにより、子ども達の意欲を高め、しっかりとした視点で観察ができる。

つまり、「クイズ+観察」というセットにしたところが、田中実践のヒットポイントだと思われます。それは、次の枠囲みにも表れています。

 今から学級園に出て、みんなが植えたツルレイシの観察をします。
 でもその前に、いきなりクイズです。全部で3問。

端的で無駄のない導入です。では、実際にどのような「いきなりクイズ」が出題されたか、見ていきましょう。

『では第1問。この植物の実は何でしょう?』
『A ツルレイシ B きゅうり C オクラ D バナナ』

この問題では「撮影しておいた学級園のツルレイシの写真をプロジェクターで提示」しています。しかも、教師が「ツルレイシの観察」をすると言っているのですから、正解がバレバレの問題です。それにもかかわらず、4択にしたところが面白いです。「D バナナ」と聞いた子どもたちは、きっと大笑いしたことでしょう。田中さんが「簡単なクイズだが、子ども達はとても嬉しそうである」と書いているのも、うなずけます。

『第2問。現在(11月下旬)のツルレイシは、どれでしょう?』

この問題では3枚の写真が示されています。「Aは4月(種子)、Bは9月上旬、Cが11月下旬に撮影したツルレイシ」です。第1問ほどではないでしょうが、ちょっと考えれば分かりそうな問題です。「少し迷いながらも、ほとんどの子どもがCに挙手」したそうです。けれども、教師は『正解は…ひみつです』と子どもたちをじらして次に進んでいます。

『では第3問。最終問題です。現在のツルレイシにはたくさん何かができています。さて、それは何でしょう?』

これは、すぐには分からないでしょう。子どもたちも「この前見たときは、実はなかった」「もしかしたら種ができているのかな」などと反応しています。

このように、クイズを通して子どもたちの「観察意欲を高め」ているのです。シンプルですが、よい実践だと思います。

ただし、原稿の書き方として惜しいのは、枠囲みの使い方です。上記の通り、3問のクイズの難易度を少しずつ上げていく構成が、この実践のポイントでしょう。そうであれば、3問のクイズを枠囲みして強調すべきだったと思われます。

もう一つ、タイトルについてです。クイズの枠囲みとともに、タイトルにも「クイズ」という言葉を入れるべきだったと思います。「クイズ+観察」のセットが、この授業のしかけなのですから、その点をタイトルでもアピールすれば、より主張の明確な原稿になったと思われます。
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