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『白石範孝の国語授業のつくり方』 [書籍]


白石範孝の国語授業のつくり方 (プレミアム講座ライブ)

白石範孝の国語授業のつくり方 (プレミアム講座ライブ)

  • 作者: 白石 範孝
  • 出版社/メーカー: 東洋館出版社
  • 発売日: 2009/02
  • メディア: 単行本


この本の著者は白石範孝さんですが、表紙や奥付には「教師の“知恵”.net」企画と並記されています。もともと「『超』一流に学ぶ授業づくりプレミアム講座」として行われた内容を本にしたものです。そのため、白石さんの講義をライブで聴いているような感覚で読み進められます。

たとえば、「文学を読む10の観点」です。「10の観点」については、『10の観点で読むアニマシオンゲーム』(学事出版)にも詳しいのですが、この本では次のように説明されています。

 10の観点を一つずつ説明しましょう。「いつ」はいいですね。「どこで」もいい。「いつ」「どこで」の二つを「設定」と言います。物語の設定を読むことになります。
 それから「どんな人物が(登場人物)」と「だれが中心(中心人物)」は、物語の「人物」を読むという部分になります。
 そして、「どんなことがおこった(事件)」「かわったことは」「いちばん大きくかわったことは」は、「事件」を読むということになります。
 一番最後の三枚が「関係づける」ことになります。私は「お話の図」を書かせています。人物関係図でもいいし、出来事の関係図でもいいです。それがまとまると、この「一文で書くと」になるんです。
 「声に出して言える言葉・文」は別次元のものです。なぜこんなものを観点の中に入れたかというと、やっぱり文学作品だからです。素敵な歌に出会ったときに、その歌すべては歌えないけれど、サビの部分は口ずさめることがありますよね。あれは「歌を楽しむ」ということです。「文学を楽しむ」ということは、文学作品のある一節を口ずさめるということではないかと私は思っています。そういう子どもにしたいんです。「ごんぎつね」と言ったら、「おれと同じ、一人ぼっちの兵十か」という一節がぽんと出てくる。そういう子どもにしたいがために、この活動を入れています。

講義中に書かれたと思われる板書の図とあわせて読むと、もっとわかりやすいです。

さらに、各章の最後に「白石範孝のプレミアム語録」がまとめられています。白石さんの語録に目を通した上で、気になった部分の本文をじっくり見るという読み方もできるでしょう。この本の目次は非常にあっさりしていますので、この語録も以下に引用しておきます。参考にしてみてください。

講座Ⅰ 国語の授業づくりと学級づくり
 ◆学級づくりなくして国語授業はない。
 ◆要点をまとめたから何なのか、どんな力がついたのか、これを明確にすることが国語の大きな問題だ。
 ◆用語を教える。方法を教える。原理・原則を教える。
 ◆普段の生活の中で何をやればいいかというと、まずは書くこと。
 ◆国語というのは具体と抽象の行き来である。
 ◆学習した漢字だけではなくて、知っている感じをどんどん書かせる。
 ◆「日記は、毎日書かせないでください」とわざと言う。
 ◆視写することは書く活動の重要な要素になっていく。
 ◆手さげに必ず自分の読みたい本を一冊入れさせておく。
 ◆音読では、相手意識がとても大切である。
 ◆一人ひとりの子どもの声を作っていったら、子どもたちがいきいきとする。
 ◆声づくりをやっていくと、子どもたち一人ひとりがかかわり合っていける。
 ◆「廊下言語を教室言語に持ち込む」ことは、子どもたちが自分の思いを自由に気楽に話すことにつながる。
講座Ⅱ 「考える力」をつける文学の授業づくり
 ◆文学の基本は10の観点を学ぶこと。
 ◆文学作品は、中心人物がさまざまな事件によって幸せになるか不幸になるか、これしか書いていない。
 ◆音読対話の意図は、全員が本当に正確に読めているかどうかを把握すること。
 ◆視点が変わった後ろに、必ずクライマックスがくる。
 ◆考えさせるために、作品を後ろから読んでいく。これを「逆思考の読み」と呼ぶ。逆から原因を追究していけば原因が見えてくる。
 ◆物語には「伏線」が敷かれている。
 ◆文学作品を国語の授業で学習するということは、その作品を客観的に読めるような子にすることだ。
 ◆作品と読者の間に必ずいるのが語り手。私たち読者はこの語り手の語りを通して、物語の世界を把握して思考する。
 ◆語り手の語りを通さないで読むから、別な読みや思い込みが生まれる。
講座Ⅲ 「考える力」をつける説明文の授業づくり
 ◆低学年の文学指導では、作品から結末を正しく抜き出す。高学年では、結末を拡大解釈して、抽象化して表現する。
 ◆低学年の説明文の基本型は、問いと答えの関係。
 ◆中学年では要点の指導が大事。
 ◆高学年では、要旨が読めるようになることをねらう。
 ◆要点がまとめられたら要旨も見える。
 ◆要点のまとめ方は、文がいくつなのかをおさえ、大切な一文を抜き出し、その一文を短くまとめ、主語を文末に置く。
 ◆方法だけはしっかりカード化する。
 ◆論理的に考えさせるには、発問の工夫と学習材のしかけが大事。
 ◆答えの出し方には、他の教材にも使える原理・原則が含まれている。
 ◆意味段落に分けるとき、仲間に分けるとき、文の構成をみるときに、主語連鎖を一つの方法とする。
 ◆説明文における逆思考では、結論をどかんと与えて、なぜこういうふうになっているのかという論理をひも解いていく。
 ◆読み解いていくために図式化する。
講座Ⅳ 「考える力」をつける言語活動の授業づくり
 ◆言語活動を支える基礎的・基本的なことは、用語を知る・使う、さまざまな方法を知る・使う、原理・原則を活用する、構成(仕組み)を知り、活用すること。
 ◆言語活動では、理由・順序・生かす・きまりを使う・類似・相違・類推・具体化・抽象化・批評の観点を取り出して組み合わせて表現活動をしていくこと。
 ◆読みの指導の第一段階の思考は読者が対象の内容を受け取る思考、二段階目は受け取ったことによって作品や文章と自分が対話をする思考、三段階目は読者が作品や文章を突き抜ける思考である。
 ◆授業では子どもたちにつぶやかせなければいけない。そのつぶやきを拾ってつなげてやればいい。
 ◆比較・類推することはいいが、比較・類推しておしまいにしてはいけない。
 ◆説明文では要点をまとめたり要約したりすることが目的になってしまっている。要点をまとめて、その先に何を見ようとしてるのか。要旨をとらえる、文章構成をとらえるなど、そこまで単元の中で位置づけていかなければ、学習活動や言語活動になっていかない。
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