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『授業づくりネットワーク』2011年1月号 [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』の紹介です。「あすの授業」コーナーなど、いくつかの原稿については、私なりの視点で評価していきます。あわせて、ご覧ください。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』


特集:「第三の書く」で言語力を鍛える
論理力を鍛える作文指導がもっと日常的に!/上條晴夫
(国語)根拠を明らかにして書く/石井淳
(社会)具体的な型を示しながら言語力を鍛える/佐藤正寿
(算数)作問と学習作文で論理的言語力を鍛える/蔵満逸司
(理科)体験を通じた「追求型作文」を書かせよう/真田伸夫
(中学国語)日常的な「書く」活動を!/平山雅一
教師の対話術で理屈を引き出せ/山田洋一
物語文で論理言語を鍛える/鈴木啓司
「真似ることで学ぶ」を意識して/秋澤美加子
ユーモアと笑い、そして可視化/中條佳記

第2特集:越境する教師〜新たな自己発見〜
越境する教師/上條晴夫
国を越えて〜そこに学ぶことがたくさんあるから〜/池田康子
官と民の壁を越えて〜自己啓発を趣味にする〜/阿部隆幸
現場実践と学会研究の違いを越えて/佐内信之
教育と文学のジャンルを越えて/石川晋

【たのしい実践】
ペア漢字ゲームでいい感じの学級づくり(学級活動・小高学年)/西田智行

連載
やさしい学級担任論/池田修 「生活リズム」への指導
学級づくりのネタ&コツ/中條佳記 学級づくりが楽しくなるネタ&コツ〜1月編〜
教師のためのICT活用術/蔵満逸司 大型テレビ・電子黒板の活用法(2)
教師のためのやさしい授業研究入門/藤原顕 授業研究と教師のライフヒストリー(2)
特別支援教育おすすめ教材・教具と指導のアイデア/池田康子
教室がなごむお笑いのネタ/佐々木潤
オイカワヒロコの保健室日誌/及川比呂子

【あすの授業】(1月)
国語(小6)/辻川和彦 〈数え方〉に残る“和文化”に気づかせる
社会(小6)/中嶋卓朗 歴人(れきじん)クイズ
算数(小2)/長廻修 九九の表から発見10!
理科(小4)/飯村友和 校庭ビンゴ
図工(小1)/佐久間明子 ゆめのれいぞうこ
学級活動(小6)/佐竹康弘 残り3ヶ月!学級の目標をふり返ろう

編集部に届いた本
掲示板
ひろば
次号予告・編集後記
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「嫌い」と「苦手」の違いは何だろう? [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2010年12月号
道徳(小中高学年)/野田芳朗 「嫌い」と「苦手」の違いは何だろう?

この原稿は、すでに『授業づくりネットワーク』2010年1月号に掲載されたものと、ほぼ同じ内容です。何かの手違いがあったようです。

そのため、この原稿に対する検討は省略します。詳しくは次の記事をご覧ください。
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ふわふわパラシュート [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2010年12月号
図工(小低学年)/永田陽子 ふわふわパラシュート

「低学年でも身近な材料で45分あれば簡単に作れる」パラシュートづくりです。スーパーのビニール袋などを使って、次の「作り方」が枠囲みされています。

(1)ビニール袋を広げて、型紙を当てる。
   (写真1)
(2)ふちの部分をサインペンでなぞる。
(3)ひもを取り付けるポイントが分かるようア〜オのポイントに印を付ける。裏返して裏側にも同様の印を付け、ふちを切り取る。
(4)たこ糸を5歩切る。(割り箸の縦一周分の長さ)
   (写真2)
(5)5本のたこ糸の両端を(3)のビニールシートに書いた印のところにセロハンテープで止める。
   (写真3)
(6)5本のたこ糸を持って逆さにし、5本のたこ糸で結び目を作る。(結ぶのが難しければ、セロハンテープでまとめるだけでも大丈夫)

3枚の写真も添えられているので、非常に分かりやすい説明になっています。ただし、枠囲みの分量が原稿全体の3分の1以上になってしまっています。もう少し、コンパクトな説明にしたいところです。

枠囲みの説明は、次の二つに分けることができそうです。

(1)〜(3)ビニールシートの切り方
(4)〜(6)たこ糸の止め方

前半と後半、それぞれ写真1枚ずつで充分でしょう。そうすると、写真2はカットできそうです。

また、横長の写真を使っているため、写真の上下に余白ができてしまうのが惜しいです。縦長に撮影すれば、4行は稼げそうです。

このような工夫を積み重ねれば、枠囲みは全体の4分の1以内に収まりそうです。

その分のスペースは、ぜひ、エピソードの描写に費やしたいです。たとえば、永田さんが「伝言板」に記述している次の情報は、ぜひ「授業の流れ」の中に書き込んでほしかったところです。

〈早く作成が終わってしまった子どもへの対応。もうひと工夫してみよう!〉
・5本の結び目の部分に、画用紙で人形などを描き、付け加える。
・ビニールにカラーサインペンで絵を描かせる。

これらの描写が入ってくると、子どもたちが生き生きと活動している様子が読者にも伝わるはずです。

写真などの視覚情報と、会話などの文章情報のバランスを、上手に取っていきたいものです。
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アルコールランプを使ってみよう [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2010年12月号
理科(小4)/田中力 アルコールランプを使ってみよう

「授業へそ」を引用します。

 アルコールランプは簡単な熱源であるが、安全な基本操作を正しく覚えさせたい。そしてポップコーン作りをすることで、さらに活用の楽しさを味わわせることができる。

アルコールランプの「基本操作」を学びながら「ポップコーン作り」を楽しむシンプルな実践です。次の見出しを見るだけでも、この授業の展開が分かります。

1 マッチの使い方を教える
2 アルコールランプに点火
3 ポップコーンを作ろう

ただし、見出しの表現が微妙に違うのが気になります。書き方をそろえてみましょう。

1 マッチの使い方を教える
2 アルコールランプに点火させる
3 ポップコーンを作らせる

見出し1にそろえてみました。主語は教師です。使役の表現になるので、少し硬い印象を読者に与えそうです。

1 マッチの使い方
2 アルコールランプに点火
3 ポップコーン作り

見出し2にそろえてみました。体言止めです。悪くはないですが、少し素っ気ないかもしれません。

1 マッチをこすろう
2 アルコールランプに点火しよう
3 ポップコーンを作ろう

見出し3にそろえてみました。教師の発問です。子どもたちの活動を教師が促しているようで、自然な表現になっているのではないでしょうか。タイトルの「アルコールランプを使ってみよう」とも整合性がとれているように思えます。

このような「発問」形式の見出しを意識しながら、次は、枠囲みの示し方を考えてみましょう。

「マッチをこすろう」の部分で枠囲みできそうなのは、次の部分です。

 マッチ箱側面にマッチの軸を垂直に立てて手前にこする。これがポイントである。

このポイントこそ、枠囲みで強調したいです。

次は、「アルコールランプに点火しよう」です。この原稿で唯一、田中さんが枠囲みしている部分を引用します。

 マッチの火はすぐに消しません。交代で5秒以上持てるように練習してみましょう。

なぜ、「マッチの火はすぐに消」さないのか、理由を明示したいところです。たとえば、「アルコールランプに点火しやすいよう、マッチを交代で5秒以上持つ練習をしてみましょう」のようになるでしょうか。

最後は、「ポップコーンを作ろう」です。次の部分が気になります。

 ビーカーを熱します。ポップコーンが跳び出ないようにアルミホイルでふたをします。1粒はじけたらそれが始まりです。

ここだけ、話し言葉の表現になっているので、『  』をつけ忘れたのかもしれません。それはともかく、この教師の言葉を使って、ポップコーン作りのコツを枠囲みしたいところです。たとえば、「ビーカーを熱してポップコーンをはじけさせます。飛び出ないように、アルミホイルでふたをしましょう」でしょうか。

以上、見出しの表現形式を整えながら、枠囲み(教師の指示・発問)も明示してみました。見出しのように些細な表現の不揃いが、実は、枠囲みのように重要な部分の乱れにつながっているような気がしてなりません。
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紙芝居風プレゼンで解き方紹介 [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2010年12月号
算数(小5)/増川秀一 紙芝居風プレゼンで解き方紹介

本実践については、まず「伝言板」から引用しましょう。

 上條晴夫編、九貫政博・佐藤民男著『子どもの意欲を育てるワークショップ型授業』(教育同人社)の「紙芝居プレゼンコンクール」を参考に実践した。

「紙芝居プレゼンコンクール」が載っている参考文献は、正確には『子どもの意欲を育てるワークショップ型授業50+プラス小ネタ26 小学5・6年』です。

それはともかく、「紙芝居『風』プレゼン」としたところに、増川さんの工夫があったと思われます。この「風」にこだわって、増川さんの実践を見ていきましょう。

まず、「紙芝居プレゼンコンクール」の「やり方」を引用します。

(1)〈第1〜3時〉3〜5人のグループをつくらせる。
(2)最初に次のように説明する。
    グループで「分数の通分」についての紙芝居をつくり、それでプレゼンテーションする。そして、そのプレゼンをコンクールして競い合う。
(3)四つ切画用紙をまず各グループに1枚ずつ配る。
(4)算数の教科書「分数の通分」の単元を読ませ、〈1通分の意味 2通分のやり方〉の2つは必ず入れるように言う。
(5)画用紙の使用枚数は、表紙を含めて6枚くらいが適当。できあがったグループには練習させる。
(6)〈第4時〉各グループ1つずつ順番にプレゼンさせる。
(7)プレゼン後、1人1回挙手して説明がわかりやすかったグループを選ぶ。挙手の多い順に順位を決める。

次に、「紙芝居風プレゼン」の「進め方」を引用します。

(1)面積の求め方を、ペアで画用紙3枚にまとめる。(20分間)
  ・表に図や式、キーワードを短くかき、見やすくまとめる。
  ・裏に「まず」、「次に」、「最後に」の書き出しで説明を書く。
(2)他のペアと、完成した紙芝居を紹介し合う。(10分間)
(3)ふり返りを書く。(5分間)

両者を比べて、主な相違点を箇条書きしてみましょう。

相違点(1)「3〜5人のグループ」と「ペア」
相違点(2)「画用紙」「6枚くらい」と「画用紙3枚」
相違点(3)「コンクール」と「紹介」

相違点(1)は、作業する人数です。グループとペアの違いは大きいでしょう。ペアにすると、おそらく紙芝居を操作する子と説明する子で役割分担すると思われます。発表するときは、自然に協力する形になるでしょう。納得できる修正です。しかし、人数が少なくなると、紙芝居を作成する負担が大きくなります。そのため、次の修正が必要になります。

相違点(2)は、画用紙の枚数です。ペアで作成するために、枚数を半減させたのも適切な修正です。しかも、増川さんの〈準備するもの〉を見ると、画用紙の大きさも「四つ切」から「8つ切り」に変更したことがわかります。半分の大きさなら、ペアでも作業しやすいはずです。その反面、紙芝居を見る観客にとっては見にくくなる恐れもありますが、さらに、次の修正で問題をクリアしています。

相違点(3)は、発表形式です。原実践はクラス全員に発表する「コンクール」形式です。増川さんの追試実践はペアで「紹介し合う」発表形式です。これなら、小さめの画用紙でも全く問題ありません。しかも、3枚でコンパクトにまとめた紙芝居を、いろいろなペアに紹介できるはずです。

「紙芝居プレゼンコンクール」は「わかりやすさ・面白さを追求」しますが、「紙芝居風プレゼン」は「順序立てた説明」の1点に絞っています。増川さんは、クラス全体を引きつける「面白さ」については、ねらいから外したようです。その分、少し地味ですが、着実な実践に仕上がっていると思われます。大勢の人を引きつける「紙芝居」から「面白さ」を割り引いたため、増川さんは謙虚に「紙芝居『風』」と名づけたのかもしれません。

以上のような考察は、増川さんが参考文献を示してくれたからこそ、できることです。また、原実践と比較検討しても、増川さんが丁寧に修正追試した点がうかがえます。やはり、先行実践を踏まえるのは非常に大切だと分かる事例だと思います。
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「写真合わせ」で見学を楽しく [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2010年12月号
生活(小低学年)/湯藤瑞代 「写真合わせ」で見学を楽しく

「授業のへそ」を引用します。

 社会科見学や校外学習で、地域の郷土資料館等を見学する機会がある。しかし展示物が子ども達の生活から少し遠く、とまどいが感じられる。そこで写真合わせの活動を通して事前に調べ活動をすることで、「知りたいことを見る、知りたいことを聞く」という目的意識が生まれたり、調べ方や質問の仕方などを身につけることができる。

郷土資料館の事前学習で写真を活用する授業です。〈準備するもの〉を見ると、「現在の生活道具の写真」と「昔の暮らしについての写真」を合わせる活動がヒットポイントのようです。湯藤さんの原稿を読むと、およそ次の活動が行われたようです。

活動(1)昔の写真を見て道具を当てる
活動(2)昔と今の道具の写真を調べる
活動(3)写真を見比べて質問を考える

それぞれの活動に対応して、枠囲みが示されています。枠囲みの示し方を検討してみましょう。

まず、活動(1)に関わる部分を引用します。

『郷土資料館にはこんなものがあるよ。例えば』と、下のようなランプを提示する。

 これは何でしょう。何に使うものでしょう。

「これは何でしょう。……」という枠囲みの前に、ランプの写真が提示されています。子どもたちの視覚に訴える導入です。効果的な発問と言えるでしょう。

次に、活動(2)に関わる部分を引用します。

 昔の道具を調べてコピーし、今の道具の写真と一緒にはって、比べてみましょう。
 図でまとめ方について示した。『昔の道具について調べてたいものはある?』「机!」「時計!」教室の中を見渡しながら答えた。それを板書にしてまとめる。

 ・洗濯機(○君)
 ・アイロン(○君)
 ・ストーブ(○君)
 ・お風呂(○君)
 ・机(○君)・時計(○君)

ここで枠囲みされているのは、「洗濯機」「アイロン」などの子どもたちの発言です。しかし、ここで重要なのは「写真合わせ」のはずです。「昔の道具を調べてコピーし、……」の部分こそ、枠囲みすべき指示・発問です。

もしかすると、『  』もついていないので、枠囲みを忘れてしまったのかもしれません。その後に『昔の道具について調べてたい……』という脱字もあります。この授業の最も重要な部分ですので、念入りに推敲したいところです。

最後に、活動(3)に関わる部分を引用します。

 まとめた画用紙をみんなの前で紹介した。昔のアイロンについて調べた生徒が、写真を示し『どうやって使うかはわかりません』また、『昔の時計はどんなものかわかりませんでした』などと疑問を出した。

 わからないことは、そのままあきらめてはいけません。学芸員さんに聞いてみよう。

「わからないことは、……」の部分が枠囲みです。この「わからないこと」とは、誰が、何に対して抱いた疑問でしょうか。

たとえば、「昔のアイロンについて調べた」○君の場合です。『どうやって使うかはわかりません』は、もちろんアイロンに対しての疑問でしょう。

『昔の時計はどんなものかわかりませんでした』は誰の疑問でしょうか。「昔のアイロンについて調べた」○君のようにも読めますが、「時計」について調べた○君なのかもしれません。

おそらく、教室では次のような会話があったはずです。

A君「昔のアイロンをどうやって使うかはわかりません」
B君「昔の時計はどんなものかわかりませんでした」
C君「……」
D君「……」
E君「……」
F君「……」
教師『わからないことばかりですね。でも、そのままあきらめてはいけません』

 画用紙を見ながら、学芸員さんに質問してみよう。

「学芸員さんに質問」という部分が、指導の骨格となる指示・発問のはずです。ヒットポイントが強調されるように、「写真(画用紙)」と「質問」を明示して枠囲みしたいです。

そして、「わからないことは、……」のような子どもとのやり取りは、会話として描写したいです。そうすると、教師の会話『  』と子どもの会話「  」のように、記号を厳密に区別する必要が出てきます。

さらに、「児童」一人一人の描写も、できる限り書き込みたいです。せっかく、「洗濯機(○君)」「アイロン(○君)」……のように示すなら、同じ紙幅を使ってA君・B君……と表記したいです。そうすれば、B君は、なぜアイロンを選び、何の写真を調べて、どのような質問を考えたのかという追跡がしやすくなります。

今回の湯藤さんの実践は養護学校のものですので、枠囲み(システム)とともに、会話(エピソード)の記述についても、もう一工夫ほしかったところです。

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チェックシートで書写力UP [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2010年12月号
国語(小5)/成瀬陽子 チェックシートで書写力UP

「授業のへそ」を引用します。

 書写の自己批正・相互批正の段階で、「チェックシート」を活用する。
 そのシートを自分の作品に重ねて見ることを通して手本を見る力、整った文字を書く力を養う。

「チェックシート」がヒットポイントのようです。これは「手本の文字を写し取ったクリアシート」です。今回の授業では「馬車」という文字のシートをペアで1枚ずつ用意したそうです。このチェックシートの良さをアピールできるような「指示・発問の枠囲み」について考えてみましょう。

まずは、成瀬さんの示した枠囲みを引用します。

【枠囲み1】
「馬」の一画目は、縦画でしょうか。横画でしょうか。

【枠囲み2】
 友達の作品のよさを見付けましょう。

【枠囲み3】
 ここに気を付けると、もっとよくなるのに…と思うところはどこですか。

【枠囲み4】
 チェックシートを当て、自分の課題を見付けよう。

チェックシートに関わる指示・発問は【枠囲み4】のみです。しかも、「自己批正」のみです。「相互批正」については、「このチェックシートはこの後のペア学習でも活用する」と説明されているに過ぎません。「授業のへそ」で「自己批正・相互批正の段階」における活用を挙げているのですから、それぞれの場面のエピソードを描写したいものです。

そのためには、【枠囲み1〜3】を精選する必要がありそうです。それぞれの枠囲みを見ていきましょう。

【枠囲み1】は、おもしろい発問です。子どもたちの「縦画(6名)」「横画(24名)」という反応からも分かるように、「馬」の筆順は間違いやすいです。正解を知って、「横画だと思っていた子どもたちの、驚きにも似た声が挙がる」のもうなずけます。ただし、この発問を枠囲みした上で、筆順指導の手順を詳しく記述すべきかどうかは、検討の余地があるかと思われます。本実践のヒットポイントである「チェックシート」とは、あまり関係が無いからです。

【枠囲み2】は、「前時に書かせた子どもの試書2点を黒板に掲示」した上での発問です。その直後には、「本時のねらいに迫るため」の発問である【枠囲み3】が示されています。つまり、【枠囲み2】よりも【枠囲み3】の方が主要な発問のようです。ここは、一つの枠囲みに統合してしまった方がスッキリすると思われます。

このように見てくると、成瀬さんが【枠囲み1〜3】を使って読者に示したかったのは、本時のねらい(学習課題)「筆順と画の間隔に気を付けて書こう」のようです。この学習課題を子どもたちが意識できれば「手本を見る力」が育つのでしょう。そのために、わざわざ「一枚一枚手書き」して「手本の文字を写し取ったクリアシート」を準備したはずです。子どもたちの「作品」と「手本」をつなぐ役割を果たすのが「チェックシート」なのです。

このような、つなぎ役としての「チェックシート」を意識しながら、この授業の構成を箇条書きしてみます。

(1)試書の作品と手本を比べて見る【枠囲み1】【枠囲み2】【枠囲み3】
(2)自分の作品と手本を重ねて見る【枠囲み4】
(3)友達の作品と手本を重ねて見る

枠囲みを並記すると明らかなように、成瀬さんは(1)の部分に記述を費やしすぎているようです。そのしわ寄せが、この授業のメインとなるべき(2)(3)の記述に現れてしまっているように思えます。(1)と同じ調子で(2)(3)も書き進めた上で、優先順位を決めて不要な部分をカットすれば、もう少しバランスの取れた構成になっていたような気がします。

蛇足ですが、枠囲みの文末表現が、以下のように変化しているのも気になります。

【枠囲み1】……横画でしょうか。
【枠囲み2】……見付けましょう。
【枠囲み3】……どこですか。
【枠囲み4】……見付けよう。

【枠囲み1】【枠囲み2】の「しょう」という言葉が、【枠囲み3】【枠囲み4】にはありません。前半は「しょう」と丁寧に書いていたのに、紙幅が足りなくなったので、後半は省略したように見えてしまいます。偶然かもしれませんが、案外、このような細かい表現が大きな問題を象徴している場合も多いので、丁寧に推敲したいものです。
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『授業づくりネットワーク』2010年12月号 [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』の紹介です。「あすの授業」コーナーなど、いくつかの原稿については、私なりの視点で評価していきます。あわせて、ご覧ください。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』


特集:協同学習のすすめ
協同学習(学習の輪)とは何か?◆杉江修治氏に聞く◆/上條晴夫
「協同」による学び 学びの共同体とは/森脇健夫
「協同」による学び どこが違うの? 協同学習と『学び合い』/阿部隆幸
「協同」による学び バズ学習とは/佐内信之
「協同」による学び・わたしの実践 「協同」で学ぶことの意義/加藤恭子
「協同」による学び・わたしの実践 FGで「協同」による学びを促す/藤原友和

第2特集:チームビルディングに学ぶ
チームビルディングとは何か/長尾彰
わたしの学習集団づくり ホールシステム・アプローチ、協同作業、クラス会議/石川晋
わたしの学習集団づくり チームになる前に/甲斐崎博史
わたしの学習集団づくり 「グループ」から「チーム」へ/大野睦仁
わたしの学習集団づくり 夢(ビジョン)を子ども達と共有する/岩瀬直樹

【たのしい実践】
「タングラム」に取り組むA男の姿を追って(算数・小5)/成瀬陽子
わくわく!倉敷大冒険(社会・小・中学年)/松森靖行
はじめてのローマ字(国語・小4)/米山尚伸

【連載】
やさしい学級担任論/池田修 「私語」への指導
学級づくりのネタ&コツ/中條佳記 学級づくりが楽しくなるネタ&コツ〜12月編〜
教師のためのICT活用術/蔵満逸司 大型テレビ・電子黒板の活用法
教師のためのやさしい授業研究入門/藤原顕 授業研究と教師のライフヒストリー(1)
特別支援教育おすすめ教材・教具と指導のアイデア/上原淑枝
教室がなごむお笑いのネタ/佐々木潤
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【あすの授業】(12月)
国語(小5)/成瀬陽子 チェックシートで書写力UP
生活(小低学年)/湯藤瑞代 「写真合わせ」で見学を楽しく
算数(小5)/増川秀一 紙芝居風プレゼンで解き方紹介
理科(小4)/田中力 アルコールランプを使ってみよう
図工(小低学年)/永田陽子 ふわふわパラシュート
道徳(小中高学年)/野田芳朗 「嫌い」と「苦手」の違いは何だろう?

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「好きなものマップ」で友情を深めよう! [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2010年11月号
学級活動(小6)/金城啓太 「好きなものマップ」で友情を深めよう!

「好きなものマップ」とは「白い紙に自分の好きなものをたくさん書き込んで」交流する活動です。「好きなもの」の内容は「食べ物でも、遊びでも、本でも、漫画でも、ゲームでも、スポーツでも…なんでもあり」です。「マップ」の形式は「ひたすら書き出したもの、箇条書き、マインドマップのような系統樹型、カラフルなもの、モノクロ、分野ごとにトップ3を挙げたものなど」様々な形が出てきたそうです。

このような「好きなものマップ」をもとに、次のような交流が行われたエピソードが示されています。

女児A「マンUってなに?」
男児B「知らないの!?イングランドのサッカーチームだよ。」
女児A「そうなんだ。」
男児C「イチロー!? 野球、好きなの?」
女児D「家族でよく見るよ。」
男児C「へえ〜。」

また、最後の感想発表の中に、次のようなものがあったそうです。

「僕はサッカーが好きなんだけど、女子のマップにサッカーを見つけたとき、なんか嬉しかった」

この「僕」はサッカーが好きなので「男児B」なのかもしれません。また、ここに出てくる「女子」がサッカーだけでなく野球も好きなら「女児D」の可能性もあります。

あくまでも、これらは私の勝手な「想像」です。できれば、根拠のある「推測」をしたいところです。そのためには、材料が足りません。金城さんが、男児Bや女児Dの「好きなものマップ」の作品を原稿の中に示してくれれば、いろいろなエピソードを読み取れる可能性が出てくるはずです。

エピソードを描写するためには、子どもたちの「会話」だけでなく、「作品」も活用したいところです。さらに、それらを男児Bや女児Dなど、特定の子どもの「物語」として描き出す工夫をしたいものです。
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「よい姿勢」と「もも上げ」のチェック [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2010年11月号
体育(小5)/志藤晃一 「よい姿勢」と「もも上げ」のチェック

「走ること」の基礎として、「よい姿勢」「もも上げ」それぞれのポイントが、次のように枠囲みされています。

(1)身長を一センチメートル高くするイメージでスッと背筋を伸ばす。
(2)目線はまっすぐ前方に。
(3)かかとを紙一枚分浮かせるイメージで、両足の拇指球に重心を乗せる。

・前傾や後傾をせずに、よい姿勢(まっすぐな軸)のままできているか。
・ももは「平ら」(地面と並行)になるまで上がっているか。
・ひじを曲げたまま、後ろまでひいているか。
・体を支える軸足の膝が大きくまがっていないか。

「よい姿勢」については、教師が「三つのポイント」として示しています。一方、「もも上げ」については、「チェックポイントを例示するが、これらは子どもたちから引き出すとよい」とされています。つまり、これらの枠囲みは、教師の子どもたちに「指示」するよりも、できる限り「例示」に留めて、子どもたちから引き出したい内容のようです。

そうすると、これらのチェックポイントを引き出す「システム」が重要になるはずです。次の手順が示されています。

(1)ペアを作る。
(2)じゃんけんで、もも上げをする人・観察する人を決める。
(3)一つずつポイントを意識しながら、その場で十回のもも上げ(かけ足)を行う。観察している人は手拍子でリズムをとってあげる。
(4)ポイントができていたかどうか、観察している人が○か×かで相手に伝える。(腕で○か×を作り、はっきり伝わるようにする。)
(5)ペアで役割を交代する。
※ポイントを変えながら、何度かチェックを行う。

志藤さんは枠囲みをしていませんが、この部分こそ強調すべきです。チェック「ポイント」そのものではなく、チェック「システム」を枠囲みするのです。

そうすると、チェック「システム」の前後を授業記録で描き出すことになります。「システム」前に行われた教師の指導については、志藤さんは充分すぎるほど記述しています。問題は「システム」後に起きた子どもたちの反応です。志藤さんは次のように描写しています。

「かっこいいー」
「体が後ろに倒れているよ」
 ○か×とともに、気づいたことを伝えている様子が見られる。

志藤さんが描写しているエピソードは、(雑誌上では)この4行のみです。「よい姿勢」だけでなく「もも上げ」について、子どもたちは互いにどのようなアドバイスをしたのか……。このようなエピソードを丁寧に描き出すと、原稿の「伝達可能性」が高まるものと思われます。
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