SSブログ

模擬選挙をしよう! [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年2月号
社会(小6)/中雄紀之 模擬選挙をしよう!

模擬選挙の進め方が、次のように枠囲みされています。

(1)今、国民が困っていることを学級で出し合う。
(2)二名の候補者の演説を聞く。
(3)教室を歩き回ってだれに投票するかを意見交換する。
(4)投票後、感想を書く。

投票の手がかりとなる「二名の候補者の演説」が重要です。この「演説原稿」は「先生が用意したものを読む」ことになっています。どのような原稿が用意されたのかを見てみましょう。

A候補者…新入社員を採用した企業に補助金をだす。
理由…今、大学生の半分近くの人が就職できません。不景気のせいで、企業が人を雇う資金がないからです。私が当選したら、新入社員一人当たり10万円の補助金を出す政策を実行します。これで確実に失業者が減ります。
B候補者…環境に関する研究に国が補助金を出し、開発した技術を外国に売って、景気回復につなげる対策。(原稿略)

B候補者の原稿が省略されているのが残念です。AもBも「補助金」を出すことに変わりはありません。Aは短期的、Bは長期的な視点で補助金を使うようです。この違いが、原稿の上では、どのように示されているのかを比較したいところです。

同様に、枠囲み(3)の部分についても、以下の「A候補者に対して」の反応だけでなく、「B候補者に対して」の反応も示しておきたいです。

「Aの対策は失業者が減って、とてもいいよね」
「だけど、お金はどこから出るのかな」
「税金じゃないかな」
「税金が上がるということかな」
「消費税が上がるのでは」

財源については、AもBも同じ問題を抱えています。AとBを比較するならば、その効果についての意見交換が重要になるはずです。候補者は二人しかいないのですから、両方の演説原稿を示した上で、それに対する子どもたちの反応が知りたいものです。

もし、紙幅が足りなかったのであれば、優先順位の低い情報を省略するしかないでしょう。たとえば、先の枠囲み(1)の部分は、この活動の導入ですが、「不景気」問題を取り上げることは、授業が始まる以前に教師が決めていたようです。そうであれば、この部分を大幅にカットして、その分をB候補者の記述にあてた方が良さそうです。

プロフィールによると、中雄さんは「コミュニケーションによって学び合いが成立する学級づくり」を目指しているそうです。それを今回の原稿に当てはめるならば、A候補者とB候補者の演説原稿(および、それぞれの演説に対する反応)は、学び合いが成立したかどうかを検証するためには必須の情報だと思われます。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学校

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。