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学級イベントを企画して思い出作り [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年3月号
学級活動(中学校)/高柳哲也 学級イベントを企画して思い出作り

「授業のへそ」を引用します。

 クラスで「お楽しみ会は何をしますか?」と尋ねると、私たちは安易に「バーベキュー」「サッカー」等の[やりたいこと]に着目しがちですが、そこを[どういう思い出を作りたいか?]という着眼点に変え、学活の時間を利用して1ヶ月前から子どもたちと考えた取り組みです。

つまり、[どういう思い出を作りたいか?]を強調して話し合わせるのがポイントのようです。

ただし、「授業の流れ」の構成は次のようになっています。

1 1時間目(2月第1週)
2 2時間目(2月第2週)
3 当日(3月第2週)

このうち、「1 1時間目(2月第1週)」の部分に焦点を絞って、1時間の「授業の流れ」として書くべきだったと思われます。

それでは、この部分を高柳さんが、どのように書いているかを見てみましょう。

 『この1年4組の思い出の総まとめ。全員が楽しめる内容にしてほしい』と、お楽しみ会を開催するにあたって子どもたちに提案しました。すると、「作業を分担して自分の得意な分野で協力し合った何かをしたい」「みんなができることをした」という意見が出て、スポーツや出し物などが候補から消えていきました。結果として[食べること]が残りました。この話し合いは、班ごとにどんなものをしたいかを小さな紙に書き、黒板に条件にどんな点があっているかを確認しながら候補を絞っていきました。

以上が「1 1時間目(2月第1週)」のすべてです。この場面で教師は、どのような役割を果たしていたのでしょうか。指示・発問を積極的に行って話し合いをリードしたのでしょうか。それとも、話し合いの手順だけを示して内容は子どもたちに任せたのでしょうか。そのあたりの再現可能性を高めるためにも、枠囲みをすべきだと思われます。
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こすって、うつして [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年3月号
図工(小1)/西塔枝里 こすって、うつして

「授業のへそ」を引用します。

 身の回りにある凹凸がついた物に、紙を当ててクレヨンでこすると模様ができる。こする作業を楽しみながら、物の素材や感触の違い、できる模様の面白さについて気づくことができる。

ここには二つのことが書いてあります。「紙を当ててクレヨンでこする」こと、「物の素材や感触の違い、できる模様の面白さについて気づく」ことの二つです。

前者については、次の枠囲みで説明されています。

(1)教室の中で、でこぼこを見つけたら紙を当ててクレヨンでこする。
(2)でこぼこは、それぞれ違う色のクレヨンでこすること。
(3)こするときは、クレヨンを寝かせるようにして持ち、同じ方向にすきまなくこすること。
(4)教室で探し終わったら、みんなで外へ行って探す。

この手順を読めば、紙とクレヨンの使い方、活動場所の移し方が分かります。

後者については、「振り返る」場面において、次のように描写されています。

 教室に戻り、紙を見ながら振り返りをする。
『今日はどんな模様を見つけましたか』
「テレビのスピーカーのところが、てんてんになっていました」
「道路がブツブツした模様になってたよ」
「板をこすったら目玉みたいのが出てきたよ」

子どもたちの発言を見ると、「物の素材」「感触の違い」「模様の面白さ」の気づきが伝わってきます。これは偶然ではなく、西塔さんが意図的に会話を選んだのでしょう。

「授業のへそ」を支える形で、活動の説明(システム)と描写(エピソード)が示されている構造のため、分かりやすい原稿になっていると言えるでしょう。
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実験結果の「見える化」で正確に実験ができる [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年3月号
理科(小5)/田中聖吾 実験結果の「見える化」で正確に実験ができる

「授業へそ」を引用します。

 ふりこの往復する時間を計り、すぐに結果を黒板に書いて「見える化」していく。
 実験結果を「見える化」することで、正確に実験を行うことができるようになる。

「実験」の「見える化」が「正確」さを促すところがポイントのようです。

まず「実験」の手順については、次のように枠囲みされています。

(1)10往復する時間を計り、黒板に結果を書く。それを3回繰り返す。
(2)3回の時間を足して3で割り、1回あたりの時間を出し、黒板に書く。
(3)1回あたりの時間を10で割り、1往復する時間を黒板に書く。

次に「見える化」と「正確」さについて、田中さんは次のように授業場面を説明しています。

 同時に、計った結果をすぐに黒板に書くように呼びかけた。
 黒板を見ると、どのグループも10往復するのに14秒前後という結果になっている。しかし1グループだけ9秒前後というグループがあった。しばらくすると、そのグループの子どもが「先生、計り直していいですか」と言ってきたので、計り直しをさせてみた。すると、計り方を勘違いしていたようで、少しアドバイスすると正しく計り直すことができた。

「1グループだけ9秒前後」になったのは、なぜでしょうか。「10往復」を5往復で数えていたのでしょうか。それなら、7秒前後になるはずなので違いそうです。

子どもたちの「勘違い」と教師の「アドバイス」の内容を会話のやりとりなどで描写すれば、もっと活き活きと授業場面が読者に伝わったはずです。そうすれば、「見える化」の良さをアピールできたと思われます。
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四角をつくってかぞえよう!! [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年3月号
数学(中学校・特別支援)/平山雅一 四角をつくってかぞえよう!!

「授業のへそ」を引用します

 特別支援学級における数学の授業である。生徒の実態として、かけ算九九を覚えていても、日常生活への活用ができない場面が多く見受けられる。
 そこで、具体物を見てかけ算を活用するという経験を繰り返すことで、日常生活で活用できることを目的とした実践を行った。

「具体物」がポイントのようです。そこで、<準備するもの>を見てみましょう。

・おはじき(81個)
・将棋盤(もしくは、1辺が2、3センチメートル程度の9×9マスをプリントしたもの)

この二つを、どのように活用しているのでしょうか。平山さんは冒頭で次の発問を枠囲みしています。

 いまから出すおはじきを数えてみよう!

導入で教師が示した学習課題において、「おはじき」という具体物を使っているわけです。

それでは、「将棋盤」はどこに出てくるのでしょうか。次の場面は、すぐに数えられないくらいたくさんのおはじきを教師が出したところです。

『次はふたりで協力してね』といいながら一握り出す。
「え〜!」
 多さに困惑する。
『ヒントだよ』といい、将棋盤を出す。
「(四角を)つくろう!」
「うん」

このうち、『ヒントだよ』と声をかけている部分がポイントのようです。この指示・発問を枠囲みすると、指導の骨格が明確になったと思われます。

しかし、将棋盤を使っても、「四角をつくりたいのだが、ちょっとだけ足りない」というケースが出てきます。そのため、平山さんは次の枠囲みで発問を示しています。

 「ドン・キホーテの魔法」を使おう!

「ドン・キホーテの魔法」とは、「会計時にぴったり出せるよう、1円をレジにおいているというサービス」に倣って、「5個以内でおはじき追加」というルールです。「ドン・キホーテ」が身近な子どもにとっては、分かりやすいルールでしょう。

うまく活動の手順を整理できれば、小学2年でも、かけ算九九の面白い授業になりそうです。
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歴史なぞかけで活用力を高める [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年3月号
社会(小6)/阿部隆幸 歴史なぞかけで活用力を高める

バラエティ番組などでお馴染みの「なぞかけ」を使った授業です。ただし、「なぞかけ」と言われてもピンとこない人もいます。流行廃りもあります。まずは「なぞかけ」がどのようなものか、子どもや読者に伝える必要があるでしょう。

阿部さんは次のように書き出しています。

『ととのいました!』
 授業が始めると同時に子どもたちの前で言う。ポカンとする子どもたちを前に続ける。
『奈良の大仏とかけまして、怒っている人とときます』
『そのこころは?でしょ』
「そのこころは?」
 子どもが苦笑して言う。
『ぶつぞう(仏像)』
「ははは」「へへへ」

具体的な例があるのでイメージしやすいです。この描写で「なぞかけ」とはどのようなものかを伝えた上で、次のルールが記述されています。

(1)教科書や資料集を参考にしながら、歴史に関する言葉を探す。(例 仏像)
(2)自由に友達と相談しながら、同音異義語を見つける。(例 ぶつぞう!)
(3)二十分で一人一つ以上の「なぞかけ」を整える。(例 奈良の大仏とかけまして、怒っている人とときます…)
(4)班で紹介し合い、代表作品二つを選ぶ。
(5)各班の代表作品を全体で紹介する。

「仏像」「ぶつぞう!」などの例が示されているため、先の描写と関連づけて理解しやすいです。

同様に、「自由に友達と相談」する場面や「代表作品」が描かれているため、伝達可能性の高い原稿に仕上がっています。子どもたちの会話や作品を示すことで、読者に訴える効果が高まると思われます。
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思い出短歌を作ろう [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年3月号
国語(小6)/増川秀一 思い出短歌を作ろう

「一年間をふり返り、印象深い出来事を五・七・五・七・七の短歌形式で表す」活動です。次の手順が枠囲みされています。

(1)短歌の題材を決め、そこから思いついた言葉をウェビング形式で書き出す。(十分)
(2)ウェビングを見ながら「五・七・五・七・七」のリズムに合わせ、思い出短歌を作る
 ※「くやしい」→「肩おとす」のように行動や様子を表す言葉で、その時の気持ちを伝えることがコツ
(3)短冊に清書し詠み合う(十分)
(4)学習をふり返る(五分)

短歌を作るために、ウェビングを取り入れたのが工夫点のようです。その様子を描き出すために、増川さんは一人の子を取り上げています。

 A男はノートの中央に「宿泊体験学習」と書き、そこから「テント」「野外炊飯」「キャンプファイヤー」等、主な活動を書き出していた。さらに、「テント」という言葉からは、「たおれそう」「暑い」「協力」等の言葉が伸びていた。

その上で、A男の作品「テントはり これでねるのか 暑そうだ 明日の朝まで たおれないでね」が示されています。A男の思考の跡が具体的にうかがえます。

端的なシステムの記述と、具体的なエピソードの描写、増川さんの原稿は非常によいバランスで書かれているので参考になります。
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『授業づくりネットワーク』2011年3月号 [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』の紹介です。「あすの授業」コーナーなど、いくつかの原稿については、私なりの視点で評価していきます。あわせて、ご覧ください。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』


特集:赤ペンの技と思想
赤ペンの技・その思想とは〜上條晴夫氏に聞く〜/佐内信之
作文の「赤ペン」に学ぶ『村を育てる学力』(東井義雄著・明治図書)/石川晋
作文の「赤ペン」に学ぶ『子どもをはげます赤ペン<評語>の書き方』(亀村五郎著)/藤原友和
作文の「赤ペン」に学ぶ『グレーゾーンの子どもに対応した作文ワーク』(大森修編著)/田中博司
作文の「赤ペン」に学ぶ『子どもが作文を好きになる本』(宮川俊彦著)/野田芳朗

第2特集:わたしの学級イベントづくりとアイデア
ふり返りながら成長できるイベントを/中嶋卓朗
プレミアショーをしよう!/遠藤安孝
学級の実態に合わせ、丁寧に仕掛けよう/山寺潤
「得意技発表会」で友だちのことをもっと知ろう/飯村友和
学級イベントは成長の確認と知的ゲームのセットで/神吉満

【たのしい実践】
「生物多様性」の大切さを理解させる授業(理科・小学校高学年)/大前暁政
読み取ったことを表にまとめて考える〜説明文「どうぶつの赤ちゃん」〜(国語・小1)/伊藤幸洋
Social and Emotional Learning(学級活動・小学校高学年)/森俊郎

連載
やさしい学級担任論/池田修 保護者との関わり方
学級づくりのネタ&コツ/中條佳記 学級づくりが楽しくなるネタ&コツ〜3月編〜
教師のためのICT活用術/蔵満逸司 大型テレビ・電子黒板利用法のまとめ
教師のためのやさしい授業研究入門/藤原顕 授業研究と校内研修(2)
特別支援教育おすすめ教材・教具と指導のアイデア/上原淑枝
教室がなごむお笑いのネタ/佐々木潤
オイカワヒロコの保健室日誌/及川比呂子

【あすの授業】(3月)
国語(小6)/増川秀一 思い出短歌を作ろう
社会(小6)/阿部隆幸 歴史なぞかけで活用力を高める
数学(中学校・特別支援)/平山雅一 四角をつくってかぞえよう!!
理科(小5)/田中聖吾 実験結果の「見える化」で正確に実験ができる
図工(小1)/西塔枝里 こすって、うつして
学級活動(中学校)/高柳哲也 学級イベントを企画して思い出作り

編集部に届いた本
掲示板
次号予告・編集後記
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残り3ヶ月!大切にしたいことは [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年2月号
学級活動(小4)/片野靖久 残り3ヶ月!大切にしたいことは

「授業のへそ」を引用します。

 三学期が始まってすぐ、残りわずかな学級生活一日一日を充実させるために、みんなで大切にしていきたいことを共有する活動を行う。
 そこで、「ダイヤモンドランキング」の手法を組み込むことによって、児童が集団の一員として、所属感を高めることができる。

ポイントは「ダイヤモンドランキング」です。次の手順が枠囲みされています。

(1)一位は一個、二位は二個、三位は三個、四位は二個、五位は一個というように、ダイヤモンドの形のように付箋を貼り付け、ランキングをつけていく。
(2)なぜ、この順序にしたのか理由を考える。

実際の原稿には、9枚の付箋がダイヤモンドの形のように貼り付けられている様子が図示されています。この図については、本実践のオリジナルである、森竹高裕さんの「もっといいクラスにするために大切にしたいこと〜ダイヤモンドランキングの手法を使って〜」にも載っていますので、参照していただければと思います。

なお、森竹さんの実践では「個人の中でランキング」を作った後に、「班の4人で相談して、班のランキング」を作っています。片野さんは「個人」では行わず、すぐに「小グループ」でランキングを作っています。この違いは重要ですので、手順の枠囲みの中に「小グループ」を明示した方が良かったと思われます。

その代わりに、片野さんは「理由を考える」点を強調しています。そのため、各グループの発表では、次のような意見が出されています。

 「私たちのグループでは、みんなで頑張っている8の字跳びを成功させたいので、『できることは最後までやり通す』を一位にしました」
 「ぼくたちのグループは同じ8の字跳びでも、『失敗してしまった人の気持ちを考える』が大切なのではないかと思い一位にしました」

このエピソードから、同じ理由でもランキングが違ってくることが分かります。

そうすると、逆に、同じランキングでも理由が違う場合もあるはずです。「個人」ではなく「小グループ」でランキングを行っても、そのような「理由」の違いが現れたのかどうか、片野さんの実践記録には明示されていません。オリジナル実践から変更した「小グループ」と「理由」に大きく関わる部分ですので、この点のエピソードが詳しく書けると良かったのではないでしょうか。
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体育館の「舞台」から転げ落ちよ!〜「頭はね跳び」の導入〜 [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年2月号
体育(小5)/小山弘一 体育館の「舞台」から転げ落ちよ!〜「頭はね跳び」の導入〜

「授業のへそ」を引用します。

 跳び箱運動「頭はね跳び」はカッコイイ。児童の憧れの技。しかし、怖い。
 でも大丈夫。恐怖心を和らげる「安全マット」と体育館の「舞台」があれば、練習効果が一気に高まり、できる子が続出する。

つまり、「安全マット」と「舞台」を使った場の設定が、この授業のヒットポイントと言えそうです。

それでは、このヒットポイントを活かすために、教師はどのような指示・発問を行っているでしょうか。残念ながら、小山さんの原稿には枠囲みがされていませんので、ポイントとなる箇所を探していきましょう。

体育館の「舞台」に「安全マット」の場を設定した図が示された後、次のやり取りが記述されています。

『今日は憧れの「頭はね跳び」にチャレンジしてみましょう』
「えー。やだー。怖そう」
『大丈夫です。ここで練習をして「体の反り」がどういうものかがわかれば誰にでもできます』

「ここ」というのが「舞台」と「安全マット」です。「舞台」から転げ落ちても、「安全マット」があるから大丈夫ということをアピールするためには、この二つ目を中心に枠囲みすべきでしょう。

次のポイントは「体の反り」についてです。「舞台」と「安全マット」により、自然に「体の反り方を体得」できた子どもたちに、次の場を示します。跳び箱の周りにマットを巻いた場が図示されています。この場については、次のように説明されています

 ここで大事なことは、髪の毛の生え際を跳び箱上のマットにしっかりつけて回転に入ることである。そして、体が前方に少し傾きかけたときに体を反らすことを伝える。早く反りに入ると垂直に落ちてしまうので危険だという注意もする。

このような説明の文を、ぜひ、教師による指示の言葉として、枠囲みしてほしかったところです。

同様に、次の最後の場も、枠囲みが欲しいところです。

 この時間の最後は、跳び箱を横にした場所での「頭はね跳び」。教師は補助できる場所に立つ。
 児童は難なく跳んでいく。

補助に立った教師は、子どもたちに何も指示しなかったのでしょうか。「体の反り」を意識させるような声かけは無かったのでしょうか。何らかのポイントがあるように思えるのですが……。

本実践には、第一・第二・第三という三つのステージがあります。三つの場を設けたからには、それぞれに何らかのポイントがあるはずです。そのポイントを、ぜひ、枠囲みで明示してもらいたいところです。
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現在の絶滅数は? [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年2月号
理科(小6)/川本敦 現在の絶滅数は?

「授業の流れ」を確認するために、見出しのみを引用します。

1 ルールを説明する
2 生き物名前リレーをする
3 地球に生息する生き物の種類数を予想しよう
4 1年間に絶滅している生き物は何種類か考える

このうち、本実践の中心となるのは、タイトルにもある通り、4です。そこで、枠囲みを見てみましょう。

 もう1つクイズです。先ほど学習した3000万種の生き物ですが、約6500万年前には1年間に0.001種類、400年前には0.25種類、100年前は1種類絶滅していたと言われています。さて現在は1年間に約何種類の生き物が絶滅していると言われているでしょう。

子どもたちからは「2種類・5種類・10種類・100種類」という答えが出たそうですが、正解は「約4万種類」です。そのような落差が出たのは、その前のクイズが影響しているようです。

「地球に生息する生き物の種類数」を「1億種類」「10億種類」などと予想していたにもかかわらず、正解は「現在確認できているもので140万種」「現在確認できていないものを含めると3000万種類」でした。「意外と少ない」結果だったために、絶滅数も少なく見積もったようです。

さらに、クイズの前に行ったゲームの影響もありそうです。ルールの枠囲みを引用してみましょう。

 今から「生き物名前リレー」というゲームをします。
手順は次の通りです。
(1)4人1チーム。
(2)先生がテーマを言う。
(3)スタートの合図で一人ずつ紙にテーマの生き物を書く。
(4)書いたら次の人に紙を渡す。
(5)3分間でたくさんの生き物を書いたチームが勝ち。
(6)パスはチームで3回まで。答えを教えたら反則。

「陸にすむ動物」「植物」「虫」などのテーマで繰り返し、ゲーム終了後には、他の班が書いた「生き物でいっぱい」になった紙を見に行かせています。ですから、子どもたちは、たくさんの生き物の名前を書いたり見たりしているわけです。

けれども、それらを全部あわせても、せいぜい数百種類に過ぎないでしょう。仮に、子どもたちが知っている生き物すべてをリストアップしたとしても、1000種類に達するのは難しいのではないでしょうか。

そんな状態で「現在は1年間に約4万種類もの生き物が絶滅している」と知ったので、子どもたちは「ええー!!」と驚きの声を上げたのだと思われます。

最後の絶滅数を問うクイズに至るまでに、川本さんは周到な準備を行っている様子がうかがえます。導入のクイズをきっかけにして何らか活動に入る実践はよく見かけますが、今回のように逆のパターンは珍しいです。活動中心と発問中心の授業をハイブリッドさせるパターンとして、気にかけておきたい実践です。
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