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現在の絶滅数は? [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年2月号
理科(小6)/川本敦 現在の絶滅数は?

「授業の流れ」を確認するために、見出しのみを引用します。

1 ルールを説明する
2 生き物名前リレーをする
3 地球に生息する生き物の種類数を予想しよう
4 1年間に絶滅している生き物は何種類か考える

このうち、本実践の中心となるのは、タイトルにもある通り、4です。そこで、枠囲みを見てみましょう。

 もう1つクイズです。先ほど学習した3000万種の生き物ですが、約6500万年前には1年間に0.001種類、400年前には0.25種類、100年前は1種類絶滅していたと言われています。さて現在は1年間に約何種類の生き物が絶滅していると言われているでしょう。

子どもたちからは「2種類・5種類・10種類・100種類」という答えが出たそうですが、正解は「約4万種類」です。そのような落差が出たのは、その前のクイズが影響しているようです。

「地球に生息する生き物の種類数」を「1億種類」「10億種類」などと予想していたにもかかわらず、正解は「現在確認できているもので140万種」「現在確認できていないものを含めると3000万種類」でした。「意外と少ない」結果だったために、絶滅数も少なく見積もったようです。

さらに、クイズの前に行ったゲームの影響もありそうです。ルールの枠囲みを引用してみましょう。

 今から「生き物名前リレー」というゲームをします。
手順は次の通りです。
(1)4人1チーム。
(2)先生がテーマを言う。
(3)スタートの合図で一人ずつ紙にテーマの生き物を書く。
(4)書いたら次の人に紙を渡す。
(5)3分間でたくさんの生き物を書いたチームが勝ち。
(6)パスはチームで3回まで。答えを教えたら反則。

「陸にすむ動物」「植物」「虫」などのテーマで繰り返し、ゲーム終了後には、他の班が書いた「生き物でいっぱい」になった紙を見に行かせています。ですから、子どもたちは、たくさんの生き物の名前を書いたり見たりしているわけです。

けれども、それらを全部あわせても、せいぜい数百種類に過ぎないでしょう。仮に、子どもたちが知っている生き物すべてをリストアップしたとしても、1000種類に達するのは難しいのではないでしょうか。

そんな状態で「現在は1年間に約4万種類もの生き物が絶滅している」と知ったので、子どもたちは「ええー!!」と驚きの声を上げたのだと思われます。

最後の絶滅数を問うクイズに至るまでに、川本さんは周到な準備を行っている様子がうかがえます。導入のクイズをきっかけにして何らか活動に入る実践はよく見かけますが、今回のように逆のパターンは珍しいです。活動中心と発問中心の授業をハイブリッドさせるパターンとして、気にかけておきたい実践です。
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